ネイビーウィングの翔破

シアトル・シーホークス応援ブログ

【15】OTA開始&C.J.モズリーを超える最高額LB??

 

 現地ではOTAが開始されました。その中で怪我の選手についてピート・キャロルが言及しており、また、ボビー・ワグナーもOTAに参加して発言しています。その紹介の前にまず、ドラフトルーキーとの新たな契約について紹介しておきます。

 

①L.J.コリア―、D.K.メットカルフと契約

 シーホークスは今季ドラフト1巡目指名のDE、L.J.コリア―と契約しました。4年のルーキー契約で10.836Mドル、5.9Mドルの契約ボーナスが含まれています。後述しますが、エゼキール・アンサの怪我の心配もある中、コリア―はシーズン序盤からプレイする可能性があります。*1

 またD.K.メットカルフともようやく契約を交わし(契約金はまだ不明)、これで残る未契約ドラフトルーキーは、LBコディ・バートンのみとなりました。*2

 

②OTA開始

 現地で開始されたOTAは、メディアには日本時間水曜、現地時間火曜の2日目からが公開されています。

 

選手の怪我について

 肩の怪我をかかえるアンサについてピート・キャロルは、その復帰の時期を知るには早すぎるとしながら、第1週からプレイできるチャンスはあるとしています。またアンサの獲得については、チームにとって非常に大きなものであったと言い、彼の成績やスピード、サイズ、強さ、タフさが、自分たちが求めているものだったとしています。

 DTジャラン・リードについて、ミニキャンプも間に合わないと思われるが、動きのいい選手であることは間違いなく、復帰を急いではならないと考えているようです。Sのデラノ・ヒルについて、減った体重も戻りその強さも戻り、調子が上がっているようですが、トレーニングキャンプからの参加になるようです。

 Sのブラッドリー・マクドゥーガルドはまだリハビリの途中であり、トレーニングキャンプからの参加になりそうです。RBのクリス・カーソンも膝の課題があるものの、数週のうちに復帰できる可能性があります。DTのナザイア・ジョーンズも膝に問題を抱えており、WRのゲリー・ジェニングスはハムストリングに、TEのウィル・ディズリーは膝に怪我を抱えています。

 CBのトレ・フラワーズは近親者の不幸があったこと、QBのジノ・スミスは家族のそばにいる必要があったことから不参加でした。*3*4

 
ボビー・ワグナーは参加するも練習なし

 

 

 契約延長の問題を抱えるボビー・ワグナーですがOTAには参加し、キャロルいわく、いつも通りリーダーとしての役割を続けていたようです。ただ練習は避けていて、というのも昨年のアール・トーマスやK.J.ライトの例もあり、契約状況の打開されない今は怪我のリスクをなるべく避けて、若い選手を手助けするなど、今できることに専念するという意図があるためのようです。これについては、トーマス、カム・チャンセラー、マイケル・ベネット、マショーン・リンチなどが契約問題でオフシーズンの一部もしくは全てを欠席したのとは異なる状況です。
 シーズン開始前に契約を交わしたいワグナーですが、細かな明言は避け、チームとの会話があった、とのみ語りました。
 リチャード・シャーマンやラッセル・オクンのように代理人なしのワグナーは、チーム側との面と向かっての交渉について、交渉中に批判されても受け止めることができる、ドラマにはしたくない、これはビジネスだ、と割り切った姿勢を見せています。ジョン・シュナイダーは代理人なしの選手との交渉についてその難しさを語りますが、キャロルは自信を見せていて、すべてはうまくいっているとしています。

 他の代理人なしの契約例としてCBSsportsのJoel Corryが解説をしているところでは、WRラリー・フィッツジェラルドは2017年の1年の契約延長において、1シーズンのインセンティブが最大となる契約を交わし、結果として1Mドルを得ることになりました。2015年に引退したLBジョン・ビーソンは2014年の契約において他のLBと変わらない形での契約を実現させています。OTオクンは2017年にチャージャーズと4年、53Mドルの契約を得て、当時最高額OTとなりました。ただCBシャーマンは、契約の中で、構造的な保護を十分に受けておらず、実質的な金銭が獲得困難なインセンティブの中に存在しており、49ersが契約の最後に得をするような形になっていました。

 Corryは、ワグナーはシャーマンの自己代理から学ぶべきだとしていて、シャーマンは2日にも満たない契約の勉強を押し売りしたことに問題があり、選手を代理して契約の交渉をすることは、一夜漬けでの、契約のニュアンスに関する理解をもってしてエキスパートにはなることはできない専門領域だとしています。ただスポーツ界での契約交渉はそれほど難しくなく、代理人と同様に交渉できる選手は多いため、もしワグナーがプレイ同様に取引の研究を真剣に行えば、シーホークス側が有利になるには難しい状況が生まれる可能性があります。オクンのアプローチに倣えば、ワグナーは有利になるかもしれないということなのです。

 しかしながら、先日最高額LBとなったC.J.モズリーの状況よりワグナーの状況は複雑です。オクンやシャーマンが怪我の状態によって交渉が複雑化したのに対して、ワグナーはその点に関して問題はないトップLBであり、その成績からモズリーを上回る、リーグを牽引するLBです。ワグナー自身も、自分の価値はわかっていると語っています。

 チームはもっとも有利な状態で可能な限り安価に契約する傾向にありますが、シーホークスはモズリーの契約を例外だとしてはねのけるとワグナーとの契約で困難になる危険性を負っているのです。昨年12月に、殿堂入りを確実視して彼を賞賛し、彼がいるのは本当に幸福なことだとキャロルは語っており、モズリーより低い契約は困難だと言えそうです。シーホークスは早急にワグナーが最高額LBになることを認める必要があって、交渉はワグナーがモズリーよりもどれだけ多くの金額を得るべきかということに焦点があてられるべきだ、とCorryは分析しています。

 ワグナーは適切な契約申し込みがなければ現行契約を全うすることになり、シーホークスフランチャイズタグをつけるのか市場に彼を放つのかの選択を迫られることになります。2020年のワグナーのフランチャイズタグは16.845Mドルになる予想です。実際ワグナーは、先日語った「今年が最後のシーズンであるように準備している」ことについて、現時点では契約の最終年であるという意味であり、契約を守っているからこそ今自分はここにいて、チームに参加して、若い選手の手助けをして、したいことをしている、それが自分の決断であり、(現行の契約が終了するという意味において)もう次の年というのは存在しない、率直な考えでは契約がうまくいかなければシアトルではそれまでであるということ、でも何かが起こると信じている、ということを語っています。*5*6

 

最後に

 OTAが開始されましたが、注目するべきはワグナーの状況です。いま現在、ジャラン・リードの契約延長を含めても、ワグナーとの契約延長に必要なキャップスぺースをシーホークスは保持していると言えそうです。もし今後、FA契約がある場合はその状況が変わる可能性もあって、優先順位がどこにあるのかに寄りそうです。ただワグナーは絶対に手放すべきでない存在で、契約延長が優先して行われる可能性は高いと言えそうです。代理人なしであっても、ワグナーからはビジネスとして契約交渉に臨む態度がうかがえ、シーホークス側としては一歩も引けない状況です。そう考えると、最高額QBを持つシーホークスはさらに、最高額LBを持つチームになるのでしょうか。

 

今回は以上です。