ネイビーウィングの翔破

シアトル・シーホークス応援ブログ

【46】2020シーズン開幕!

 世界が大きく変わった中で、2020シーズンは無事に開幕しました。シーホークスセカンダリーやOLが特に一新されましたが、ここでは昨年から再三触れられてきたパスラッシュが、どのように改善できるのかという点を中心に述べていきます。

若手への期待

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 クラウニーを失い、今年の2巡目指名のダレル・テイラーが怪我をする中、まずは若手に期待が集まります。2年目のコリアーについて、ノートンDCはキャンプでの彼の成長ぶりを評価しており、ディフェンスにおける自らの役割に対する理解もしっかりしているようです。減量にも成功したコリアーは、グリーンとのローテーションが予想されます。2人ともDTスポットからインサイドラッシュをかけることができる点も注目です*1。ルーキーのロビンソンのポテンシャルにも期待できます。

マイオワとアーヴィン

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 元シーホークスのベンソン・マイオワとブルース・アーヴィンという2人のベテランの加入がパスラッシュで最大のポイントとなります。昨シーズン、両者は合計で16サックを決めています。マイオワは、昨年、15回にとどまったタックル数は改善が必要なものの、たった21スナップでキャリアハイの7サックを決めています。
 マイオワの能力として、特筆すべきはリップムーブです。TEとのマッチアップでワイド9テクニックにより外側を攻めたり、RTの手をはねのけて外側に切り込んだりする点が評価されます。ランディフェンスにおいてはTEのブロッキングに対し、肩をフリーに保つことでインサイドで有利に出ることができ、インサイドの穴を埋めることで外に流れたRBをノーゲインに抑えるといったプレーにも長けています*2。トレーニングキャンプではサイドラインからサイドラインへ動くそのスピードが注目されるなど、スピードラッシャーとしての一面もあります*3エヴァ―ソン・グリフェンやジェラルド・マッコイなど名だたる選手を差し置いてマイオワと契約された点については、2010年に在籍したクリス・クレモンズとの類似が指摘されています。体格やスピード面のみならず、29歳で加入している点、キャリアサック数が20である点など、共通点は多くあります。クレモンズは加入後3年連続で11サックを超えており、マイオワも同様にキャロル・システムにフィットする人材として期待されたようです*4
 アーヴィンは、キャリア初期に比べ、巧妙な動きよりもパワーで押し切るようにプレーが変化しています。カウンターとしてスピンムーブの動きも洗練されてきているようです。また、テキサススタント(TEX stunt)において、DTの背後を円を描いてインサイドにラッシュをかけていく動きは特に注目されます。パンサーズでは、LBキークリーのインサイドラッシュをフェイクとして、キークリーはカバーにまわり、アーヴィンがこのスタントで内側に突っ込んでいくプレーが見られたため、ワグナーとの相性も期待できます*5

【45】TEオルセンとの契約詳細 & CBスレイの獲得なるか


①TEオルセンと契約

契約の詳細

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 1年7Mドル、5.5Mドルの保証金という契約で、超ベテランTEのグレッグ・オルセンシーホークスに加わることとなりました。パンサーズからリリースされているため補償ドラフト権のコストがかからないという点が、この契約で特に注目される点です。13年のキャリアで718キャッチ、8444ヤード、59TDを記録するオルセンですが、怪我の影響で2017年以降成績が落ちています。一方で、昨年はまだまだプレーできることを証明し、52キャッチ、597ヤード、2TDを記録しています。*1*2

TEグループの今後

 レッドスキンズ、ビルズとも交渉があった中で、オルセンシーホークスに加入するに至った決め手はウィルソンの魅力だったとされます。week1から出場できる可能性が非常に高いとされる*3ディスリーとともに、TEのワンツーパンチを担うことになりそうです。昨年の後半で活躍を見せたホリスターはNo.3となりますが、オルセンとディスリーの怪我の心配からもその役割は重要となります*4。2020年がオルセンの最後の年となるという予想が大半*5ですが、シーホークスのジャージでスーパーボウルの舞台に再び立つことはできるでしょうか。

②CBスレイ獲得の可能性

スレイの名が挙がる理由

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 オフシーズンのCB問題において、ライオンズのCBダリアス・スレイのトレードの噂が囁かれ始めています。
 右サイドのCBについては前回も少し言及した通り、フラワーズがグリフィンのように3年目の飛躍を見せるかもしれず、彼の成長という点を考慮する見方は多くなっています。しかしフラワーズが軌道に乗れない場合も考慮すべきであること、また、プロボウラーのグリフィンと、平均以上の能力を示したマクドゥーガルドとディッグスというS陣がいる中で、アウトサイドCBの追加がキャロルの思い描くカバー3の成功につながることなどから、スレイの獲得は重要になります。
 昨シーズンは13PD、2INT、46タックルを記録しているスレイは、7年のキャリアで19INT、104PDを記録するベテランです。今年は4年、48.15Mドルの契約の最終年にあたります。*6*7*8

クラウニーと絡む契約金問題

 スレイはTwitterで、ドルフィンズのゼイビア・ハワードを超える契約でリーグ最高額CBになりたいことを示唆しています。年15Mドルの契約が妥当とされ、2020年のキャップヒットについては13.4Mドルとなっています。またシーホークスとしては、トレードのためには2つある2巡目指名のどちらか一方を手放さなければならないというギャンブルに出ることになります*9
 他方でシーホークスは、昨年のクラウニーとの契約で、チーム改善のためならば適正な金額で1年レンタルをすることも辞さないことを示しています。このまたとない機会でセカンダリーをアップグレードできれば、ドラフトではOL、DL、WRといった他の重要ポジションに注力できることになります*10
 スレイとの契約金と関わってくるのが、最重要事項であるクラウニーとの再契約です。クラウニーは、勝てないうえに金額を提示できないチームにはいたくないということを明言し、スーパーボウル制覇を第一に掲げています。そして「市場価値に見合う」契約金を求めています。リーグを見渡せば、アーロン・ドナルドは6年135Mドル、カリル・マックは6年141Mドルの契約を交わしています。ドナルドとマックが8年連続で2桁のサック数を誇っているのに対し、クラウニーは9.5が最高であるというのが実際ですが、シーホークスと再契約の場合、クラウニーは最高額ディフェンス選手となることになり、これはQBウィルソンの契約金を上回ることになります*11

③ まとめ

 メットカーフ、ロケット、ディスリーに加え、ベテランのオルセンが加わったことで、ウィルソンのパスターゲットは多様性と攻撃性を増すことになりました。TEへのパスがキャリアにおいても多いウィルソンにとって、オルセンは強力なプレーメーカーとなります。オルセンの加入はTE不足に一定の解決をもたらし、ドラフトにおける優先順位はさらに下がることとなりました。
 優先課題のひとつであるCB問題について、FAでのベテランCBの追加が必要であることと、同時にクラウニーのキープが困難であることをこのブログでも何度か述べさせていただいていますが、CBスレイのようなベテランの獲得はこの点で重要になると思います。最高額CBとしての契約を彼が求めているとしても、シーホークスにはそれに応える十分なキャップスペースがあります。また昨年のクラウニーや今回のオルセンとの契約で、正当な金額提示やチーム改善の姿勢が示されています。一方でクラウニーとの契約には、今年のキャップスペースでもさすがに厳しくなる契約金が求められます。超高額のQBウィルソンとLBワグナーを抱えるシーホークスが、リーグ最高額ディフェンス選手をも手中におさめることは可能なのでしょうか。豊富なキャップスペースの有効的な使い道としては、CBのトレードやFA追加が結局のところ必然的になってくると思います。
 そしてここからドラフトを考えれば、優先度の高いEDGEの獲得に上位指名権が使われ、同時にOLの獲得にも専念できることになります。スレイが加われば、昨年末に加入したディッグスがいるシーホークスで、元チームメイト同士が再びタッグを組むことができます。シーホークスがライオンズ化しているのか、ライオンズのセカンダリーがシーホークス化しているのか分かりませんが、2人の関係性はプラスに働くはずです。スレイはサイズからもまずまずのシーホークス的CBの1人ですが、トレードとなれば2巡目で新人CBを得られた潜在的チャンスを失う可能性もあります。FAに目を向けると、バイロン・ジョーンズが年約14Mドル*12で契約できる可能性があり、契約金からもギャンブル的要素が少ない点からも注目されます。
 懸念されるのはセカンダリー陣の年齢層が高くなることです。また、オルセンの1年契約も含め、短期契約選手を増やして2020年のスーパーボウルのみに注力する形になれば、2021年オフシーズンの契約問題や、長期的な改善が見られない結果につながるかもしれません。キャロルたちがいつも求めているのはコンペティションであり*13、フラワーズやグリフィン、ドラフト選手たちがそこで力を発揮し、成長できるかは重要になります。

【44】2020シーズン ドラフト予想①

 2019年シーズンは、チーフスのスーパーボウル優勝とともに終わりを迎え、2020年ドラフトがおよそ2か月後に迫っています。EDGE、DL、CB、OLなど、ドラフトでの注目ポジションが多いうえ、FA選手の再契約によって予想が大きく変わってくるものの、現時点(2月16日現在)での主要メディアの予想から、1巡目27位指名権をどう使うのか考えていきます。


(1) 各メディアのドラフト予想

NFL.com

L.Zierlein B.Brooks D.Jeremiah C.Reuter M.Jones-Drew
EDGE A.J.Epensa EDGE Yetur Gross-Matos DT Ross Blacklock OT Tristan Wrifs CB Kristian Fulton

CBS

R.Wilson C.Trapasso W.Brinson J.Edwards R.White
DL Neville Gallimore S Grant Delpit EDGE Yetur Gross-Matos EDGE Yetur Gross-Matos S Grant Delpit

ESPN

M.Kiper T.McShay
OLB Zack Baun OLB Terrell Lewis

◉USAtoday

N.Davis L.Easterling
EDGE Yetur Gross-Matos DL Reakwon Davis

NBC / SBnation / BleacherReport / PFF

T.Roman D.Kaber M.Miller M.Renner
OT Josh Jones LB Zack Baun DL Marlon Davidson CB Trevon Diggs



(2)それぞれの予想の詳細

①EDGE(OLB含む)、DLの指名予想について

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↑Yetur Gross-Matos
 Yetur Gross-Matosについては、クラウニーとの再契約が難しい中、パスラッシュ強化が必須であるという状況において、過去2年で17.5サックという成績を残し、パスラッシュのみならずランストップにも長けていることから名前が挙がっています。クラウニーが戻っても戻らなくても、アンサに取って代わることができる彼の指名は合理的とも考えられます。高身長であり、運動能力が高く、爆発力もある有力選手です。多くの選手がFAとなることで崩壊するDLにとって、スキームがうまく働くためにはデプスの強化とブリッツに頼らない体制作りが必要となります*1*2*3。ビッグラッシャーとしてのスキルがあるA.J.Espensaの名も挙がっています*4
 DTリードのリリースの可能性を受けてOLBの指名の可能性もあり、Zack Baunは、伝統的な4-3ディフェンスのDEではなくとも、異なったやり方でQBにたどり着く選手であり、T.J.ワットとも比較されます。19.5TFLを記録している彼のスキルは、NFLにおいてはスピードLBとして現れるとされます*5*6。シニアボウルでの活躍が見られたTerrell Lewisは、成長には時間が必要であるものの、パスラッシュの才能と、コーナーをまわってQBを追う突発力は疑いのないものです。今シーズンは16回のQBハリーを記録しています*7
 ランディフェンス21位、パスラッシュ30位という成績を考慮したDL指名も十分に予想でき、ラン、パスともに機能できるNeville Gallimoreや*8、元チームメイトのコリアーよりも断然良いとされるRoss Blacklockが有力視されます*9。また、多才なフロントを好むシーホークスにとって、Reakwon Davisの大きな体格と、DLのどこにでもラインアップできる能力は理想的です*10。クラウニーが戻ったとしてもインテリアのラッシュは必要ということで、5テクニックからインサイドまでプレーでき、俊敏さとパワーによってGやCでも動けるMarlon Davidsonも有力視されます。フォードとクラウニーとともに入ることで特別なルーキーになる可能性があります*11

②CB、Sの指名予想について

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↑Trevon Diggs
 身長のあるCBを求め続けてきたシーホークスにとってTrevon Diggsは有力です。高身長であることとそれをどう生かすかは別問題ですが、Diggsはそれを証明し、相手パッサーレイティングを44.5に抑えています*12。サイズがありプレスカバレッジもうまく、コンタクト時に尻込みしないというとっておきの特長を持つKristian Fultonの名も挙がっています*13
 Sにエリートがいればベストディフェンスを記録できるシーホークスにとってGrant Delpitも有力候補です。SSとしては脅威とされる彼は、カバレッジがうまく、タックルが改善されればリーグでも頭角を現す存在となりそうです*14

※現在のセカンダリーについて

 ドラフト指名に関わってくるセカンダリーの状況について、ESPNのBrady Hendersonがまとめている点を紹介しておきたいと思います*15
 CBの状況に関して、フラワーズはまずまずの成績であり、カバレッジで最も接近しているディフェンダーである場合においてパッサーレイティングは82.6、一方でグリフィンは96.3となっています。また、INTについてグリフィンが0であるのに対し、フラワーズは3回記録しています。カレッジ時代にSを務め、CBはまだ2年目である彼には成長の余地はあり、このポテンシャルに賭けるか否かが問われています。キャロルはフラワーズに期待していて2年目、3年目から伸びると考えています。パッカーズ戦のあと、来年また戻ってきて、すべての経験を活かすようにと声をかけていました。
 キャロルの好むサイズや腕の長さといった点がアウトサイドCBを限定しているものの、バイロン・ジョーンズ、アーティ・バーンズなどそれに見合うFAの層は厚いと考えられます。
 グリフィンの15、フラワーズの13というミスタックルもCBの問題の1つです。また、CBのINTはフラワーズによる3回のみで、この点でCBの全体的な改善が必要だとも考えられます。
 Sについてはまず、ブレアがインパクトのあるプレーをしていたのに、ディッグスが怪我の際ヒルがスターターになったことには疑問が残ります。キャロルの説明は単純で、ヒルは経験がある一方、ブレアは春と夏の重要な時間を怪我で欠いたことが理由とされました。
 マクドゥーガルドはリリース対象になる可能性もあります。29歳という年齢、落ちたスピード、契約最終年の5.43Mドルのキャップナンバーというあらゆる要因が考えられます。リリースによって4.1Mドルのセーブになります。トンプソンはシーズン絶望の怪我の前からミスが多かった選手で、ルーキー契約最終年で2.147Mドルでのキャップナンバーを抱えます。ブレアがスターターになればトンプソンとマクドゥーガルド両人(計8Mドル近くのキャップナンバー)をキープするのは考えにくいと言えます。
 ニッケルバックに関しては、アマディの2年目の成長次第と言えます。ニッケルについてキャロルの言及はありませんが、リーグで最多のベースディフェンスにとどまるならばケンドリクスのキープを意味することとなります。

③OTの指名予想について

 Tのデュエイン・ブラウンはスター選手ですが、永遠にプレーすることはできず、将来に向けてのプランが必要である中、Josh Jonesの名が挙がっています。6フィート7インチの「マンモス」であるJonesはとどまるところを知らない一方でまだまだ未熟なフィジカルスキルによって、新たなレベルでの成功を収める選手へと成長するかもしれません。どちらのサイドでもすぐにプレーできる経験豊富な選手でもあります*16。1巡目の終盤に流れた重要TとしてTristan Wrifsの名も挙がっています。ブライアン・ブラーガ、ライアン・ラムチックのように1日目の下位指名からリーグを代表する選手となるかもしれません*17

(3)まとめ、私見

 まずCB問題について、パッカーズ戦の印象が強く残りすぎているとも言われる*18ように、フラワーズのみの問題ではなく全体的な見直しが必要だと考えられます。その点でドラフトで1人か2人指名する可能性があると思いますが、1巡目指名ではないと考えます。サイズなどから有力視され、ドラフトのCBクラスで現在3位と評価される*19Trevon Diggsは、上位チームに指名される可能性があります。現行のフラワーズ、グリフィンの成長(ニッケルにおいてはアマディ)への期待、FAでの追加によるコンペティション、そして2巡目以降のドラフト指名選手によるデプスの強化で乗り切る、もしくはそうするしかないポジションだと考えます。シーホークスが2006年以来、1巡でCBを指名していないというのも周知の事実です*20
 OT指名は十分に考えられると思いましたが、ベテランTブラウンの存在があることと、Tristan Wrifsなどが上位チームに指名される可能性を考慮する必要があります。
 Sはドラフトの優先ポジションではありませんが、マクドゥーガルドの進退とアマディの成長によって変わってきます。Grant DelpitはSクラスでかなり上位であり*21、指名できれば強力な選手となりそうです。EDGEやCBに目が行く中で見逃してはならない選手であり、指名の可能性が高いと思われます。
 それでも1巡目指名は、EDGEの獲得に使われると思います。私はクラウニーのキープの難しさを考えていますが、リードが残っても、クラウニーが残っても、もしくはキャップスペースの増加で2人ともキープできても、パスラッシュは今のところ永久的な課題です。DLの予想も多いですが、ランストップにも貢献してきたリードの残留の可能性が高いと考え、EDGEが1巡目指名だと考えます。パスラッシャーのドラフトクラスは弱いとされていますが*22、A.J.Espensaがファルコンズジャガーズなどに指名される場合、Yetur Gross-Matosが流れてくるかもしれません。K'lavon Chaissonも非常に可能性のある選手です。Chase Youngの獲得はまず不可能です。
 もちろん、トレードバックはキャロル・シュナイダー下のシーホークスの醍醐味です。Zack Baunの指名を予想するSBnationのD.Kaberは、27位指名権をチーフスの32位、63位指名権とトレードし、32位指名でBaunを獲得するとしています*23。SportsIllustratedのK.Hansonは、バッカニアーズの45位指名権と2021年2巡目指名権を、27位指名権とトレードすると予想しています。実際シーホークスは、過去7年間で3回しか1巡目指名をしていません*24

*1:NFL Mock Drafts 2020 - Football Draft Projections - CBSSports.com

*2:Bucky Brooks' 2020 NFL mock draft 1.0: Jordan Love to Saints - NFL.com

*3:NFL mock draft 2020: First-round projection after Super Bowl

*4:Lance Zierlein NFL mock draft 1.0: Raiders pick WR Jerry Jeudy - NFL.com

*5:2020 Mock Draft Tracker 1.0: What Will The Seahawks Do With Pick No. 27?

*6:2020 NFL mock draft: These teams should make trades in the 1st round - SBNation.com

*7:2020 Mock Draft Tracker 1.0: What Will The Seahawks Do With Pick No. 27?

*8:NFL Mock Drafts 2020 - Football Draft Projections - CBSSports.com

*9:Daniel Jeremiah 2020 NFL mock draft 1.0: Four QBs in top 15 - NFL.com

*10:https://draftwire.usatoday.com/2020/02/06/2020-nfl-mock-draft-trades-super-bowl-joe-burrow-tua-tagovailoa/

*11:2020 NFL Mock Draft: Matt Miller's Post-Super Bowl Complete 7-Round Predictions | Bleacher Report | Latest News, Videos and Highlights

*12:PFF 2020 NFL Two-Round Mock Draft: Dolphins trade up to take Tua Tagovailoa | College Football and NFL Draft | PFF

*13:Maurice Jones-Drew NFL mock draft 1.0: Chargers replace Rivers - NFL.com

*14:NFL Mock Drafts 2020 - Football Draft Projections - CBSSports.com

*15:https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33799/questions-surround-quandre-diggs-shaquill-griffin-in-seahawks-secondary

*16:https://www.nbcsports.com/washington/redskins/2020-nfl-mock-draft-110-post-super-bowl-edition

*17:Three-round 2020 NFL mock draft 1.0: Dolphins pass on Tua - NFL.com

*18:Seahawks mock draft roundup: Will Seattle address its defense with its first pick? | The Seattle Times

*19:https://www.cbssports.com/nfl/draft/prospect-rankings/cornerbacks/

*20:Maurice Jones-Drew has Seahawks selecting CB in latest mock draft

*21:NFL Draft 2020 - Latest Draft News and Predictions - CBSSports.com

*22:Maurice Jones-Drew has Seahawks selecting CB in latest mock draft

*23:2020 NFL mock draft: These teams should make trades in the 1st round - SBNation.com

*24:NFL Mock Draft 2020: What team will trade up for Tua? - Sports Illustrated

【43】TE考察 (グレッグ・オルセンの訪問に際して)

現在のTEについて

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 シーホークスのTE陣については、ディスリーがアキレス腱断裂から復帰しつつある一方、シーズン1年を欠場したディクソンはリリースの対象になると見られ、ルーク・ウィルソンUFA、ホリスターはRFAとなります*1
 2019-2020シーズンを振り返ると、今となっては遠い昔のことのようですが、ディスリーが開幕5試合で23レセプション、262ヤード、4TDを獲得し、トップTEの仲間入りを果たしました。キャリアでの41.8ypgはジミー・グラハムの47.6に次いでチーム史上2位となっています。
ディクソンの復帰の可能性を受けてヴァネットが5巡目指名権とトレードされ、クアンドレ・ディッグスが結果的に加入することとなりました。しかしディスリーの怪我と、ディクソンのIR入りから、もとはルーク・ウィルソンの補完であったホリスターがウィルソンの怪我を受けてスターターとなります。ホリスターは全1107スナップ中514スナップに出場し、出場した毎試合で最低でも2キャッチを記録しています。ジョージ・ファントもTとブロッキングTEとして登録されていましたが、UFAとなります。RFAのホリスターとの再契約は時間の問題で、彼が来シーズンも活躍することは必至ですが、ルーク・ウィルソンはリリースされる可能性が非常に高くなります。*2


グレッグ・オルセンシーホークスに加入するか

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 そんな中で話題になっているのがグレッグ・オルセンの存在です。パンサーズからリリースされ、FAとなるオルセンは、レッドスキンズ、ビルズ、シーホークスを訪れることとなっています。トランジションタグのさなか、契約の残り1年を残してリリースされた(2020年に11.6Mドル)ため有用であり、パンサーズからカットされていることで、補償ドラフト権にも影響しません*3
 2018年までの2シーズンで16試合を欠場していたものの、2019年に14試合、52キャッチ、597ヤード、2TDを記録しており、疑いのないトップTEの1人です。チームとしてもオルセンとしても相互に袂を分かつことになった理由として、後退しつつあるチームではプレーしたくないという本人の気持ちがありました。
 シーホークスは3シーズンで確実に改善を図っているチームであり、またザック・ミラー、ジミー・グラハム、そしてディスリーやホリスターといったTEへのパスの多いQBのもとで、再び活躍できるという機会をシーホークスが与えることができるのはアドバンテージになります。ディスリーの復帰の可能性が高いものの、アキレス腱の怪我は油断のならないものであり、オルセンとの1年契約はディスリー復帰のブリッジとなるとともに、若いTEの台頭にもつながります。
 一方でランブロッカーとしては疑問符が付くオルセンが、ランオフェンスに貢献できるかという点は問題になります。*4*5*6
 忘れてはならないのが、オルセンが訪問するレッドスキンズにロン・リベラがいることです。2011年にリベラをHCに迎えたパンサーズは、同じ年のオフシーズンにオルセンを獲得しており、リベラHCとオルセンは時を同じくしてパンサーズを去ることとなりました*7。この2人が再び同じチームのもとでタッグを組むことは自然な流れとも言えます。また、オルセンがフィールドには戻らず、FOXの解説者として働く可能性も十分に考えられています*8
 オルセンの他に、シーホークスがオースティン・フーパーに興味を示しているとも噂されます。FAのTEは他に、エリック・イーブロン、ハンター・ヘンリー、タイラー・アイファートがいます。ドラフトではTEクラスは少ないものの、ディスリーを指名したときのように2日目、3日目にポテンシャルを持った選手を見つけられるかもしれないとも考えられます*9

まとめ

 パスラッシャーとの契約が最優先である中、同時に考えなければならないTE問題において、安価で抑えられるオルセンとの契約は非常に「おいしい」話です。ランブロッキングの点からファントを放出しないとなると、LTアイフェディの放出が考えられ、TE問題はOLのFAとも関わってくる話になります。また、1年レンタルとなれば昨オフシーズンにも見られた記憶に新しいものですが、レンタルされたクラウニーとの契約問題、またその他のエッジの成長という点を考えると、1年契約のベテランを増やすことが必ずしもチームにプラスに働くとは言えないかもしれません。

【42】D.K.Metcalf vs. A.J.Brown

 
 シーホークスのレシーバーとしてルーキーながらも頭角を現したメットカーフは、タイタンズのレシーバーA.J.ブラウンとともに、オフェンシブルーキー・オブ・ザ・イヤーの候補となっています。2018年ミシシッピ大のレシーバーグループの中心を担った2人は、共に強靭な肉体を誇っており、それも含めた類似性から比較してみたいと思います。

D.K.Metcalf

height 6'3''
weight 228pounds
40-yard dash 4.33seconds
Vertical jump 40.5inches
Broad jump 134.0inches
3-cone drill 7.38seconds
stats game rec yds avg TD
2016 2 2 13 6.50 2
2017 12 39 646 16.56 7
2018 7 26 569 21.88 5
2019 16 58 900 15.50 7


A.J.Brown

height 6'0''
weight 226pounds
40-yard dash 4.49seconds
Vertical jump 36.5inches
Broad jump 120inches
3-cone drill N/A
stats game rec yds avg TD
2016 12 29 412 14.21 2
2017 12 75 1252 16.69 11
2018 12 85 1320 15.53 6
2019 16 52 1051 20.20 8

*1*2*3*4をもとに作成。身長、体重はいずれもドラフト時

2人のルーキーイヤーについて


 メットカーフがブラウンを兄と呼ぶほど、2人は親しく、その仲は高校時代までさかのぼります。メットカーフはミシシッピ州オックスフォードで、ブラウンは同州スタークヴィルでそれぞれ育ち、100マイルも離れたところに住みながらも、高校時代から切磋琢磨してきました。
 1巡目に指名されなかったのはプライドにこたえるものだったとブラウンは語っています。ドラフト1日目の夜にはメットカーフとブラウンはそのことを話し合ったそうで、悲しみもあったけれど同時に不満が募ったことを明かしています。その反骨精神で、2人のこのルーキーイヤーが生まれたようなのです。
 メットカーフはレギュラーシーズンで58キャッチ、900ヤード、7TDを獲得しました。イーグルス戦では53ヤードTDと36ヤードレセプションを記録し、160レシービングヤードによってプレーオフにおけるルーキー記録を樹立しました。タイラン・マシューやK.J.ライトをして、カルビン・ハリスをそこに見たと言わしめています。ちなみにカレッジ時代のラストシーズンでは、怪我の影響もあって7試合の出場にとどまっていました。
 A.J.ブラウンは52キャッチ、1051ヤード、8TDでレギュラーシーズンを終えました。20.2yprはマイク・ウィリアムズの20.4についでリーグ2位という記録です。マーカス・マリオタからライアン・タネヒルへの変更によってキャッチ数は増え、異なる4試合での100ヤード記録を達成しています。カレッジでの最終シーズンでは、1300ヤードを超え、6TDを決めました。
 NFLでの今シーズンについて、A.J.ボイエ、クリス・ハリス、ジャレン・ラムジーといったトップCBとマッチアップできたことの素晴らしさをブラウンは語り、この経験がレシーバーとしても人間としても自分を成長させてくれた、と言います。
 メットカーフがかなり勉強熱心だということは以前少し触れさせていただきましたが、ブラウンもQBと同じくらい映像を見て、フィールドのすべての状況を見ることでチームに貢献できる選手として成長できたようです。メットカーフの存在はカレッジ時代から変わらずブラウンにとって重要であり、ワイルドカードの試合前にチャットをするなどプロ入りしてからも連絡を取り合っています。USA TODAY Sportsの取材に対し、「ディフェンスの動きのことになると頭のきれるメットカーフは、大学時代に大きな助けとなってくれたし、選手としての自分に大きく影響している、そのことを本人は知らないけど」と微笑んでいたようです。*5*6


D.K.メットカーフはルートを走れるか

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 今シーズンの成績を見ると、両者のスタッツはわずかにブラウンが上回っています。平均獲得ヤードにおいてはブラウンの成績はリーグでも上位です。また、ドラフト時において、ルートランニングやランアフターキャッチ、ドロップ率といった点で、ブラウンの評価のほうが高かったのは事実です。
 ドラフト時においてブラウンは、そのサイズがプレーのスピードに悪く影響しておらず、スロットレシーバーとしてのこの体格は、ランアフターキャッチで非常に有利だとされていました。また、ルートランニング能力に長けており、セパレーションのうまさも高評価でした。ボディキャッチャーというよりはハンドキャッチャーで、アーション・ジェフェリーに似ているとの指摘もありました。その結果今シーズンはドロップ2回、ファンブル1回と、ドロップ、セキュリティの両面で安定したプレーを見せました。一方で、ディフェンスの位置は把握していてもチームメイトの位置やプレーがどこで進んでいるのかを把握できていないことがあり、背後でRBがタックルされていることもしばしばあったと言われていました。*7その点、ポストシーズンにおけるデリク・ヘンリーのランを中心とするオフェンスにおいて、良いブロッキングの場面は随所に見られたと言って良いと思います。
 メットカーフは、カルビン・ジョンソンやフリオ・ジョーンズとの類似を指摘される体格ですが、この2人のようにすべてのフォーメーションで動けず、もっぱらLWRのみでカレッジ時代を過ごしました。この理由の一つとしてあげられるのが限られたルートツリーでした。ルートランニングに関しては優れているとはいえないものの、脚力や手の動きでプレスカバレッジでは有利とされました。サイズに見合わないずば抜けたスピードですが、ランプアップするようなスピードではないので、これもまたプレスカバレッジで有効と言われていました。ドラフト前2シーズンでのドロップ率が非常に高いという点、怪我でシーズンを棒に振った点なども批判の対象となっていました。*8
 ルーキーイヤーのレシーバー陣に関しては、PFFにおいてブラウンの評価が高くなっています。

 しかしながら、メットカーフはしっかりルートを走っています。メットカーフに対して贔屓目になるかもしれませんが、客観的事実からも彼の成長は確かなものです。それはワイルドカードの爆発的活躍のみに所以するものではなく、シーズンを通してところどころに発見できるものでした*9
 3コーン(7.38秒)、ショートシャトル(4.5秒)*10での成績が振るわずチェンジディレクションとラテラルの動きに疑問符がついたメットカーフですが、自分の強みと弱みを理解し、一方を伸ばし片方を抑えることで、スラントでのキャッチを10/14としています。
↓week1から見られたスラントルートでのキャッチ

 得意分野を伸ばすという点で、バーティカルルートでの成長は顕著だったと言えます。100回のターゲットのうち36回はフェードやポストルートでした。ヘッドフェイクやバーティカルステップを活用しCBを引き離すことで有利に立つこともできました。また、このルートでダブルムーブからフリーになる場面は多く見られたのです。
↓メットカーフのダブルムーブの一例

 シーズンが進むにつれてヘッドフェイクやジャブステップにCBは対応してきますが、それにつれカールとカムバックルートでの成長が見られました。バーティカルルートがクッションとなって、CBはメットカーフにスペースを与えてしまうこととなり、カールやカムバックルートが成功し始めます。


 また、シーズンを通してウィルソンにアジャストできる能力が見られ、ウィルソンとのラインを構築してきたボールドウィンやロケットと同様に、スクランブルに対応したブロッキングや、プレー崩壊後のポケットからの移動に合わせた対応などが見られました。こうしたウィルソンとの信頼関係は、タイミングと信頼がものを言うバックショルダーパスにつながるものでした。
↓バックショルダーパス

 カーディナルス戦(week4)におけるエンドゾーンでのインコンプリートはジャンプのタイミングが合っておらず、キャッチ時点でプレーがソフトになってしまったことが原因であった点、パンサーズ戦では完璧なタイミングのジャンプでTDを決め、49ers戦(week17)でも同じようなプレーでTDを決めており、改善ぶりはめまぐるしいものがあります。カレッジ時代からのLWRへの偏りから、レフトで63%、ライトで26%、スロットで11%へと、フォーメーションの多様化も見られます。スティーラーズ戦、イーグルス戦(week12)、ブラウンズ戦などでキャッチ後のタフさも垣間見える場面があり、ドラフト時の批判は一つずつ消されていることが分かります。ドロップに関しては7ドロップ、3ファンブルで、ブラウンとは対照的でしたが、FieldGullsのAlistair Corpは能力よりは集中力の問題だとしています。

 メットカーフもブラウンも、NFLでのキャリアは始まったばかりです。まだ22歳という若い2人は、これまで通り友人としても、ライバルレシーバーとしても高め合い、伸びが期待される2年目のシーズンで、さらに活躍してくれることでしょう。