ネイビーウィングの翔破

シアトル・シーホークス応援ブログ

【36】2019-2020シーズン week15 vs.Panthers

 先週の惨敗から復活したシーホークスはパンサーズを下し、8シーズンで7回目のプレーオフ進出を決めました!49ersファルコンズに負け、シーホークスが現在、NFC第1シードの座についています。

①スコア

1Q 2Q 3Q 4Q
シーホークス 13 7 3 7 30
パンサーズ 0 7 3 14 24

②スタッツ

passing c/a yds TD INT
QBウィルソン 20/26 286 2 0
rushing car yds TD
RBカーソン 24 133 2
RBプロサイズ 5 15 0
receiving rec yds TD
WRロケット 8 120 1
WRゴードン 1 58 0
WRメットカーフ 2 36 1
defensive tot solo sacks INT
LBワグナー 10 3 0 1
LBバートン 10 3 0 0
LBライト 4 2 0 2

③注目選手

◉ウィルソン

 20/26、286ヤード、2TDを獲得したウィルソンは、直近4試合でそれぞれ1つずつあったINTが0となりました。ただ、ロケットへのTDパスとなるはずだったパスのオーバースローやメットカーフへの投げミスがあり、シーズン序盤に比べ、終盤はパスミスやハンドオフのミスも増えてきており、ウィルソンらしさが少し停滞気味なのは否めません。ただ今回の試合は最初の3ポゼッションで連続してTDを決め、その時点でパーフェクトレイティングを記録しています。

◉カーソン

 29位ランディフェンスのパンサーズに対し、133ヤード(キャリアハイ)、2TDを決めたカーソンは、シーズン通算1190ヤード(キャリアハイ)を獲得するに至っています。懐かしき友、マショーン・リンチ以来、2シーズン連続での1000ヤード越えとなります。

◉ロケット

 8/9、120ヤードを獲得して、怪我やインフルエンザなどここ数週のスランプ的状況を抜け出したロケットは、ウィルソンとのホットラインを再びフィールドに生み出しました。キャロルもこの2人が共に天才的な選手だと改めて絶賛しています。

◉ワグナー、ライト

 ライトは2回INTを決め、2つ目はリードのプレッシャーによるものでした。ワグナーも1回INTを決めています。サックは1、QBヒットは3にとどまりましたが、これはスクリーンとショートパスを多用する相手オフェンスのクイックプレーによるところが大きく、その意味ではプレッシャーには成功していたと言えそうです。

④WRゴードン、再び出場停止へ

 今試合、58ヤードTDを決めたゴードンは、PEDと薬物乱用により無期限の出場停止処分となりました。彼のキャリアにおいては6回目の出場停止となります。
 シーホークスで5試合に出場し、7キャッチ、139ヤードを獲得しました。キャロルは、No.3レシーバーとして良いプレーやチームへのフィットを見せていたゴードンが去ることによる影響よりも、彼のパーソナルな部分を心配し、かわいそうだとまで語っています。
 ゴードンのクレーム前、アントニオ・ブラウンにシーホークスが熱い視線を送っていた事実がありましたが、ブラウンがプレーすることについてNFL側が好感を示すはずはなく、またこの時期の契約はほとんどあり得ないとはいえ、チャンピオンシップが控えるとなると話は変わってくる可能性はなきにしもあらずです。
 ゴードンのロースター枠にはLB/DEのダコダ・ワトソンが入ることになりました。また、シーホークスはバックフィールドのデプスを強化しようとRBのワークアウトにも積極的です。

⑤怪我に関して

 今回の試合でワグナー、ディッグスともに足首を怪我をしてひやりとさせられました。誰より本人が怖かったと語っていますが、ワグナーは大丈夫なようです。ただディッグスはよりひどい状況にあり、Sのみならずディフェンスを支えていた彼がこの時期にフィールドに戻れないとなると大きな問題です。ディッグスが下がった後の今回の試合状況と同様に、ヒルマクドゥーガルドとともにSを務め、ブレアはヒルのバックアップとして必要に応じて出場する、という流れが予想されます。
 アンサは練習に復帰するも病状に心配が残るのはクラウニーです。LBグリフィンはパスラッシュの役割をしっかり務め、PBWRは21.4%で、チームではクラウニー(25.1%)に次ぐ数字となっています。

⑥まとめ

 ロケットが復活したこと、カーソンがシーホークスのランオフェンスに一定の安心感をもたらしてくれたことが、今回の試合で大きかったと思います。ディフェンスはアンサ、クラウニー、ケンドリクス、CBグリフィンという4人のスターターを欠いて臨みましたが、負け越しているパンサーズを封じています。ただ隙を与えなかったわけではなく、ワグナーとディッグスが抜けてから4Q終盤はかなり危ない状況となり、結果として再び接戦を制する形となっています。
 シーズンの重要テーマに「ファンブル」が挙げられますが、同時に「接戦」も考えないわけにはいきません。1978年当時のオイラーズ以来、シーホークスは1シーズンで10回のワンスコアゲーム(8点差以下)があったチームとなりました。ほぼすべての勝利は接戦の中で生まれています。個人的に今シーズンのみならず、後半に強いといわれる一方で、終盤に巻き返され序盤の大量得点が功を奏するような、後半に弱い側面もあると思います。
 今回もそうだったわけですが、今回の終盤について、キャロルはディフェンスを支えることになった若手たちが良い経験ができ、これがのちに生きてくると見ています。より長くフィールドにいることで集中力を高め、経験やバックグラウンドが必要なプレーに対しての準備にもつながり、選手としてより強くなれるとキャロルは語っています。見ているファンには申し訳ないけれど、ときに勝利の瞬間は遅くなるものだと言います。ワグナーは、異なるシナリオでの勝ち方を学べることがもっとも意味のあることだと語り、それによってこれまでも「すごくクレイジーな」勝利を経験できたのだと言います。最後の数分はそれまでの試合展開とはまったく異なるもので、そこで経験の少ない若手がプレーすることで、ベテランと他の選手との均衡が保たれ、それが接戦の勝利にもつながる、というのがキャロルや、ワグナー、ウィルソンといったベテランの考えのようです。接戦での勝利は決して負の側面のみではなく、のちの勝利のための中身のある勝利を重ねるうえで、重要であるようです。
 2季連続のプレーオフ進出が決定し、それが何よりの喜びです。シード争いにおいて残り2週の勝利が必須となってきますが、当初の49ersのゴールドラッシュから考えると、ここまでそのあとをぴったりついてきたシーホークスの忍耐や着実性のような部分は感慨深く感じられます。オフェンスのテンポやディフェンスのコミュニケーションなど、確実に改善を果たしてきたシーホークスがマイアミに行ける可能性は十分に残されています。


参考:
ESPN Stats & Info on Twitter: "Per @EliasSports, the Seahawks are the 2nd team in NFL history to win 10 one-score games in a single season, joining the 1978 Oilers.

One-score games are 8 pts or fewer. Seattle is 10-1 in one-score games this season.… https://t.co/WFhH1U5oXS"
https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33600/chris-carson-shows-hes-completely-capable-of-handling-seahawks-rushing-load
https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33587/seahawks-depleted-defense-keeps-chance-of-nfc-west-title-alive
https://www.espn.com/nfl/recap?gameId=401128024
https://www.espn.com/nfl/team/_/name/sea/seattle-seahawks
https://www.espn.com/nfl/story/_/id/28314109/josh-gordon-banned-indefinitely-nfl-peds-substance-abuse
Will the Seahawks take another look at Antonio Brown? – ProFootballTalk
Seahawks could be without Quandre Diggs after ankle sprain – ProFootballTalk
https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33610/no-sacks-yet-but-shaquem-griffin-adding-a-spark-in-seahawks-pass-rush
Who will play safety for the Seahawks against the Arizona Cardinals? - Field Gulls
“They Make You Stronger.” Why The Seahawks Are OK With Playing So Many Close Games

【35】2019-2020シーズン week14 vs.Rams

 
 勝利もしくは引き分けで、キャロルHC下の10シーズンで8回目のプレーオフ進出が決まる試合となった、今回の同地区対決でしたが、ラムズのハイテンポのオフェンスに翻弄されて完全に主導権を握られる内容となりました。オフェンスも内容を変えるプレーをほとんど見せられず、TDは0回と散々な結果となりました。

①スコア

1Q 2Q 3Q 4Q
シーホークス 3 0 6 3 12
ラムズ 7 14 0 7 28

②スタッツ

passing c/a yds TD INT
QBウィルソン 22/36 245 0 1
rushing car yds TD
RBカーソン 15 76 0
QBウィルソン 5 28 0
receiving rec yds TD
WRメットカーフ 6 78 0
WRロケット 4 43 0
WRゴードン 2 34 0
defensive tot solo sacks
LBワグナー 14 11 0
CBフラワーズ 6 6 0

③注目選手

〇Sディッグス

 今回はディッグスのみが輝いていたと言っても過言ではなく、4回のスターターを務めているSディッグスは、4回のテイクアウェイを決めています。ラムズの2ポゼッションで連続してINTを記録しますが、これにオフェンスは続くことはできませんでした。TDはディッグスのピック6のみとなっています。

〇LBグリフィン

 アンサのインアクティブに伴い、パスラッシュの起用が増したLBグリフィンは、QBゴフへのプレッシャーでオーバースローを誘引、ディッグスのピック6に貢献しました。

④課題

〇ディフェンス

 ラムズオフェンスのテンポについていけなかったディフェンスは、ワグナーやCBグリフィンも語るように、マインドセットの欠陥が露呈する形となりました。ロバート・ウッズのTD、タイラー・ヒグビーの33ヤードキャッチを許したCBグリフィンは、自分自身が普段の試合とは違ったと語り、この両プレーの間に気持ちの切り替えや改善がうまくいかなかったようです。
 パスラッシュは浮き沈みを繰り返しており、今回も0サックでした。

パスキャッチ

 4thダウンでのターナー、3rdダウンでのホリスターは、ウィルソンの確実なパスをキャッチできず、ディフェンスでかなり押されていた試合の中でオフェンスを丁寧に進めることができませんでした。
 ウィルソンは22/36、0TD、1INTとなり、また、パスプロテクションの欠陥とそれに伴うウィルソンの長すぎるボール保持により、5サック、11ヒットとなりました。ロングパスは最長がメットカーフの35ヤードキャッチのみで、20ヤード越えはゴードンの23ヤードキャッチのみとなっています。

⑤RBペニー、ACL断裂で今季絶望

 ようやく動き始めた1-2パンチは、レギュラーシーズンも残り少ない中で早くも崩壊してしまいました。
 スクリーンパスをキャッチしたプレーで、ペニーはACLを断裂、今季絶望となりました。キャロルも彼のような選手の代わりはいないと語り、唯一無二だったカーソン・ペニーデュオは、その真骨頂を見せられたかどうか分からないまま、今シーズンを終えることとなります。
 これを受けてカーソンのバックには、プロサイズとホーマーが残りますが、プレシーズンでキャリーのあったエグゼビア・ターナーを含む3人のトライアウトが開始されています。

⑥まとめ

 シーホークスは本当に49ersに勝ったのか疑わしくなる試合となった今回は、プレーオフの望みを賭けるラムズのノーハドルオフェンスのスピードに完全に遅れ、振り回されたディフェンスと、ペニーがフィールドを去ったうえに、決定的なパスプレーを(決められるところもありながら)欠いたオフェンスの両方が大きな課題を残し、次戦へのマインドセットの変化が必要です。
 唯一活躍したSディッグスは、その「安すぎる」価値をつけたライオンズの酷い間違いが明らかとなっていますが、FSというポジションでしっかりディフェンスを引っ張っており、うまく機能するディフェンスとこれに続くオフェンスの体制づくりが急務となります。しかしシーズン終盤にあたって怪我の選手は多く、ペニーの今季絶望のみならず、今回はLBトリオの要であったケンドリクスがインアクティブで、パスディフェンスに影響しました。彼に代わってスターターを務めたルーキーLBバートンも、MRI検査を受けることとなっています。アンサの長引く怪我と、クラウニーの怪我の状況も不透明です。スペシャルチームリーダーのCBソープも、今季絶望となっています。
 ファンブル問題も忘れてはならないカーソンのみが、実質的にランオフェンスの要となります。ランへの比重は方向転換を余儀なくされるかもしれず、TE問題もある中でレシーバー陣は、すでに気持ちを切り替えて先を見据えているウィルソンとともにパスオフェンスを正常に戻さなければなりません。
 クラウニーやアンサに問題があっても、グリーン、ジェファーソンというEDGE陣や、リード、ウッズ、フォードというDT陣に期待はできると思われます。ケンドリクスの不在のみがパスディフェンスに影響したわけではありませんが、彼のカバレッジに依存するところは大きかったと思います。ディッグスありきの中で若いCBたちは、特に今回グリフィンが指摘するようなメンタル面の改善も必要になりそうです。
 2017年シーズンweek15のラムズ戦の大敗を思い出す試合でしたが、この時期のシーホークスの同地区対決は失敗することが多いように思えます。10勝に甘んじている点があったのは誰もが認めるところで、プレーオフに悪い流れを持ち込まないためにも勝利を重ねてほしいです。


参考
https://www.espn.com/nfl/story/_/id/28261547/seahawks-rb-rashaad-penny-rest-season-acl-injury
https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33570/quandre-diggs-looking-like-a-trade-deadline-steal-for-the-seahawks
https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33551/russell-wilson-seahawks-offense-stifled-in-decisive-loss-to-rams
https://www.espn.com/nfl/team/_/name/sea/seattle-seahawks
Seahawks bring in three running backs for tryouts after Rashaad Penny injury – ProFootballTalk

【34】2019-2020シーズン week13 vs.Vikings

 前半に不調だったシーホークスは、3度のターンオーバーを含め後半に巻き返しを図り、ランゲームで勝利を引き寄せました。NFC西地区首位となったシーホークスは現在、プレーオフ第2シードにまで上り詰めています。

①スコア

1Q 2Q 3Q 4Q
シーホークス 7 3 17 10 37
バイキングス 7 10 0 13 30

②スタッツ

passing c/a yds TD INT
QBウィルソン 21/31 240 2 1
rushing car yds TD
RBカーソン 23 102 1
RBペニー 15 74 1
receiving rec yds TD
WRメットカーフ 6 75 0
WRモーア 2 65 1
TEホリスター 6 44 0
defensive tot solo sacks
LBワグナー 10 7 0
LBライト 9 3 0
Sマクドゥーガル 6 4 0
fumbles fum lost rec
WRメットカーフ 1 1 0
Sマクドゥーガル 0 0 1
RBホーマー 0 0 1

③注目選手

〇カーソン&ペニー

 今シーズン7回のファンブルにも関わらず、キャロルがカーソンを見放さない理由がまたひとつ増えた試合となりました。リーディングラッシャーとして、カーソンは23キャリー、102ヤード、1TDを記録しています。復活を果たしたペニーも15キャリー、74ヤード、1TDでした。
 いい動きをしている2人を見るのは楽しいと語るキャロルは、皆がどちらが主役になるのかずっと聞いてくるが、プランはない、としています。試合状況によってスナップ数が変わってくるのみであり、カーソンはスターターなので必然的にキャリーが増えるかもしれませんが、どちらが1番でどちらが2番ということはないようです。

〇WRモーア

 Sのヘルプが全くなかったオープンフィールドに対して放たれた、ウィルソンの60ヤードパスをキャッチしたWRモーアは、先週のターナーに続いてオフェンスのビッグプレーを作りました。これで得点が24となったシーホークスは、その後の接戦を有利に進めました。

〇ターンオーバー

 直近3試合で毎試合ターンオーバーが起きており、ディフェンスの強さが顕著に表れているのは非常に喜ばしいところです。49ers戦以降、ターンオーバーは11回となりました。
 DEグリーンのFFからマクドゥーガルドのリカバーが発生し、相手WRディッグスへのパスはフラワーズがインターフェア気味でINTしました。
 最後のキックオフリターンではターナーとホーマーによるファンブルリカバーで、相手のカムバックを阻止し、最終的に接戦となった試合を勝利に導きました。ホーマーは主にスペシャルチームで起用されていますが、今回の試合ではこのターンオーバーに加え、パントフェイクでしっかり1stダウンを獲得する活躍を見せています。ドラフトでもスペシャルチームの改善というのが大きな要素でしたが、スペシャルチームのルーキーたちは今後も活躍を見せてくれるでしょうか。

④課題

〇パスゲーム

 ペイトリオッツの敗因のひとつとも噂されるインフルエンザの猛威は、シーホークスにも影響を与え、特にロケットは万全の調子ではない中で、2017年以来初めての0キャッチとなりました。メットカーフは今シーズンのシーホークスの代名詞であるファンブルを続け、ウィルソンは責任は小さいながらも、結果的にディフレクトされたボールを相手に渡すこととなりました。
 

⑤まとめ

 MNFの勝率がNFL史上最高となったシーホークスは、カーソンとペニーという両輪が回ることで、かねてからのテーマであったランオフェンスをしっかり機能させて、試合のコントロールに成功し始めています。そして、今回はサックが0回だったものの、ディフェンスがターンオーバーにつなげる働きをしていることが試合のターニングポイントを作っているようです。また、バラエティに富んだWR陣によって、TE問題やロケットの件、メットカーフのファンブルなどの考慮はあるかもしれませんが、異なる選手がターゲットになり、面白みがあったり相手ディフェンスの錯乱につながったりしている可能性はあります。ランやディフェンスが強くなったと同時にパスオフェンスは影を潜めてはいますが、ロケットの全快によって再びビッグプレーを量産してほしいものです。
 また今回は、ペナルティがフラワーズによる1回のみと、非常に少なく抑えられています。キャロル下ではリーグトップのペナルティだったことがこれまで3回あり、ペナルティ数が15位よりも低い順位でシーズンを終えたこともありませんが、現在17位となっており、クリーンゲームの継続が期待されます。
 "the second-half team"の名にふさわしい勝利を収めて、終わり良ければ全て良しを体現するシーホークス。「接戦はクール」だと冗談めくキャロルのもとで、ロン・リベラの去ったパンサーズを除く連続同地区対決を勝利で飾り、2019年を締めくくってほしいです。


参考
Seahawks win fifth in a row while Kirk Cousins falls to 0-8 on Monday night – ProFootballTalk
Pete Carroll having “so much fun” watching Chris Carson, Rashaad Penny – ProFootballTalk
https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33521/seahawks-in-first-place-in-the-nfc-west-after-latest-white-knuckle-win
https://www.espn.com/nfl/team/_/name/sea/seattle-seahawks
https://www.espn.com/nfl/undefined

【33】2019-2020シーズン week12 vs.Eagles

 バイウィーク明けの今週は、49ers戦で見せたディフェンスの強さがどれほど完成度のあるものなのか注目される試合でした。シーズン序盤はウィルソン率いるオフェンスに頼る形だったチームは一転し、ディフェンスがチームを支えることになり、クラウニー不在の中でもしっかり機能したディフェンスが5回のターンオーバーでイーグルスを下しました。

①スコア

1Q 2Q 3Q 4Q
シーホークス 7 3 0 7 17
イーグルス 3 0 0 6 9

②スタッツ

passing c/a yds TD INT
QBウィルソン 13/25 200 1 1
rushing car yds TD
RBペニー 14 129 1
RBカーソン 8 26 0
receiving rec yds TD
WRロケット 1 38 0
WRメットカーフ 3 35 0
WRターナー 1 33 1
TEホリスター 2 22 0
fumbles fum lost rec
QBウィルソン 1 1 0
RBカーソン 1 0 0
DTウッズ 0 0 1
DTジェファーソン 0 0 1
Sディッグス 0 0 1

③注目選手

RBペニー(!)

 これまでの度重なる怪我や、カーソンのバックでの我慢から、一気に花開いた2年目の1巡目指名選手ペニーは、カーソンと立場を逆転させるゲーム内容となりました。14キャリー、128ヤードを獲得し、4Qの58ヤードTDランは、カーソンのバックアップの不安を吹き飛ばすものとなりました。
 キャロルいわくフラストレーションがたまっていたペニーですが、素晴らしい練習をしてきて、ここ3週の練習は特に良かったということです。オフシーズンには大好きなマクドナルドもやめて減量をし、プロのNFL選手としてしっかりとフットボールに向き合うことができたと語る本人は、皆がその立場上カーソンとは仲が悪いのではないかと言うが、お互い仲が良く、そしてカーソンから多くのことを学んでいる、とも語り、だからこそ根気強く機会を待ち、カーソンのサポートに徹することができたようです。
 一方のカーソンは12キャリー、57ヤード、1ファンブルファンブルは7回目)でした。ハンドオフミスは完全に彼の責任ではありませんが、今シーズン2度目です。

レシーバー陣(モーア、ターナー、ゴードン)

 ロケットの怪我の影響もあってか、パスオフェンスの輝きは影を潜めましたが、WRモーアは体格差を活かしたミスマッチで活躍しました。WRターナーのフリーフリッカーによるパスキャッチは、キープレーとなりました。WRゴードンも、新加入ながらウィルソンのスクランブルに対応したブロッキングをし、3rdダウンコンバージョンでの重要性も高くなっています。

パスラッシュ&セカンダリ

 ディフェンスはほぼ全員がそれぞれのプレーで貢献していたといっても過言ではないほどでした。まずパスラッシュでは、クラウニーがインアクティブだったことに加え、リードも途中で抜ける状態でしたが、うまく機能しました。アンサはようやく活躍をみせ、1.5サックと1FFを記録します。グリーンも、1FFやジェットスウィープシャットダウンでロスにつなげるなど、ベテラン陣に増して活躍しています。ジェファーソンやフォード、ウッズも、FRだけでなくランストップやパスゲームのプレッシャーでしっかり貢献しました。パスラッシュに新たに加わったLBグリフィンも活躍し、チームで合計3サック、9QBヒットとなっています。
 セカンダリーについてはCBフラワーズが、CBグリフィンとは対照的に苦しむシーズンになっていましたが、7タックル、3PBU、1INTを決めています。またSディッグスが1FFとリカバーを記録し、カバレッジの成熟は目を見張るものがあります。
 NBCsportsのJoe Fannの分析によると、ディッグスの加入後、シーホークスディフェンスは相手のオフェンシブTDをたった2回に抑え、8回のサック、8回のテイクアウェイを決めており、これは偶然の一致ではないということです。まずワグナーの語るように、皆がディッグスを信頼し、彼がチームに自信を与えており、かつてのアール・トーマスがそうだったように、セーフティネットの要としてのFSのポジションをキャロルHCが重要視する理由はここにあるようです。

f:id:navywing:20191126221400j:plain
マクドゥーガルドのINTが意味するところは多い
 そしてディッグスの加入とセットで考えるべきがマクドゥーガルドであり、これまでトンプソンのミスや、活躍はあったもののまだ早すぎるブレアという面々の中で、FSでプレーすることもあった彼が、本来のSSでプレーすることでベストパフォーマンスにつながっているのです。これにより、パスラッシュによるプレッシャーと相まってマクドゥーガルドのINTが今回生じています。これはディッグスの加入とパスラッシュの成功の賜物と言えるでしょう。
 

④課題

ペナルティ

 3Qの時点で、相手が0だったのに対し7つのペナルティを取られ、最終的には12個、90ヤードを与えています。現在リーグ13位のペナルティ数、喪失ヤードとなっています。

パスゲームのミス

 TDパスになるはずだったボールを落としたメットカーフや、オープンだったTEホリスターへのウィルソンの投げミスなどで、パスオフェンスはこれまでのような強さを見せられませんでした。ウィルソンのINTの場面はチップされており、完全な彼のミスではありませんでしたが、今シーズン3つ目のINTとなりました。それでもウィルソンは、8シーズン連続で勝ち越した、NFL初めてのQBとなって、歴史に名を刻むこととなりました。

⑤TE問題

 ディスリーのシーズン終了に伴って問題となっているTE不足ですが、ディクソンがIRから復帰することが報じられた直後、IRに逆戻りでシーズン終了となってしまい、シーホークスは練習生のタイロン・スウープスと契約しました。今回の試合はTEウィルソンがインアクティブで、TEはホリスターとスウープスのみでした。
 また、ディクソン関連でCBテイラーがリリースされたことに伴うニッケル問題は、アマディが代わると思われましたが、CBキングがその役目を担うこととなっています。

⑥まとめ

 49ers戦に引き続き相手の主要選手の不在があり、またQBウェンツの不調も影響したと言えますが、ディフェンスは、毎年遅咲きのシーホークスらしく、そしてキャロル下のディフェンシブチームらしく、12週にして完璧なものになってきています。パスラッシュの成功が、台風の眼となったSディッグス率いるカバレッジと相互に影響し、霧の向こうにあったスーパーボウルの舞台が肉眼でも見えるようになってきたと言えます。
 ペニーの活躍と、カーソンのセキュリティー問題は、完全な立場の逆転を意味するものではなく、むしろこれが本来あるべきだった、2人のRB(プロサイズやホーマーもいますが)のローテーションによるランゲームの構築だったのだと思います。セキュリティー問題がコーチ陣にそろそろ決断をさせる可能性はあるにせよ、両RBによるランゲームが相手を脅かしてくれることに期待が集まります。
 クラウニーの怪我は心配が少ない一方で、DTリードと、試合に参加するもキャッチが大幅に制限されているロケットには心配が残り、さらに実質ホリスターのみに頼るTEが、悩みの種となっています。次週、非常に重要なバイキングス戦も、強力ディフェンスが試合のカギを握ることとなります。


参考:
Seahawks 3 Stars: Rashaad Penny is money in road win over Philadelphia
Quandre Diggs praised by Pete Carroll for quickly improving Seahawks’ defense – ProFootballTalk
Quandre Diggs praised by Pete Carroll for quickly improving Seahawks’ defense – ProFootballTalk
Rashaad Penny's breakout game could lead Seahawks to rethink offensive strategy moving forward - CBSSports.com
https://www.espn.com/nfl/recap?gameId=401128008
https://www.nbcsports.com/northwest/seattle-seahawks
https://www.nbcsports.com/northwest/seattle-seahawks/analysis-why-quandre-diggs-single-handedly-makes-seahawks-legit-contender
https://www.espn.com/nfl/team/_/name/sea/seattle-seahawks
https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33485/suddenly-strong-defense-leads-seahawks-to-sloppy-win-over-eagles

【32】2019-2020シーズン bye week パスラッシュ再考

 
 今週はバイウィークということで、オフシーズンから特に重要とされてきたパスラッシュについて改めて記事にしてみたいと思います。

[目次]

予想に反して…

 オフシーズンからのパスラッシュ問題の流れを振り返ると、事の発端はフランク・クラークがチームを去ったことでした。ドラフトではDEのL.J.コリアーを1巡で指名しました。しかしオフシーズンの怪我から出場機会は減り、クイントン・ジェファーソンの代わりとして出場することもありましたが、現在もインアクティブの状態が続いています。カシアス・マーシュやバーケビアス・ミンゴというパスラッシュ陣の可能性もありつつ、ジギー・アンサとの契約となりました。しかし彼も怪我の影響が激しく、出場機会が減るとともに、成績も芳しくありません。そしてオフシーズンの最後に、ジャディヴィオン・クラウニーと契約が交わされました。しかしながらテキサンズ時代の輝きとは真逆に、開幕から9試合でたった2サック、PRWRはリーグの中でも高い数字をマークしている一方で成績が伴いませんでした。サック数のみではパスラッシュの良し悪しは測れないとはいえ、QBヒットやQBハリーの成績も良くなかったのが事実です。710 ESPN seattleのJim Mooreは、ベテランの少ないセカンダリーが、良くても平均並であるとされる今年はさらに危機的だったとしています。

クイントン・ジェファーソンがパスラッシュの要に

 そんな中で、クイントン・ジェファーソンがパスラッシュを支えることとなります。サックはベンガルズ戦の2回にとどまるも、プレッシャーやノックダウンに関してはチームの2番目のベスト記録で貢献し、クラウニーやアンサがくすぶっている反面活躍を続けました。

49ers戦で何が起きたのか

 ところが先週の試合では、黄金時代の再来を告げるようなシーズンを送る49ers相手に、5サック、10QBヒットを記録することとなります。パスディフェンスはリーグ1位、スコアリングディフェンスもリーグ2位と素晴らしい成績を残しました。その要因については以下の点が挙げられます。

①フロント4のみのパスラッシュ

 直近のバッカニアーズ戦でのサックはLBによるものであるなど、LBのパスラッシュが多用されていました。今回の試合序盤も、CBフラワーズによるサックがありました。しかし試合が展開するにつれ、フロント4のみのパスラッシュで動き始め、4人のみでサックも決めるようになります。これによってLBはセカンダリーとともにカバレッジへ回ることとなり、4人か5人のレシーバー相手に、7人がカバーに入る状況となりました。

②DTリードの存在(チームワーク)

 ジャーラン・リードは、出場停止処分明けの4試合で初めての貢献をしたと言えます。昨年9.7%のPRWRの一方で10.5サックを記録していたリードは、出場停止期間もパフォーマンスを維持し続けており、パスラッシュに一石を投じてくれることが期待されましたが、復帰戦のレイブンズ戦では思うような結果を残せていませんでした。しかし、49ers戦では1.5サックと1FFを記録し、DLのチームワークの中でキャロルの期待通りに、これまでのパスラッシュとの違いを見せてくれました。
 ちなみに、2Q残り2:57、10-0で得点がなかったシーホークスが、リードのストリップサックとクラウニーのピック6によって流れを変えた場面についてですが、Dave Wymanは以下の動画で、DTプーナ・フォードが大きな役割を果たしていたことを指摘しています。

 
 リードとクロスしてラッシュをかけるフォードは、非常に素早い動きをしたことで、相手OLの注意を引き付ける形となり、フォードに対応することで横を向くような形になったOLたちはリードのサックを止めることができなかったとされます。下に貼り付けた問題のシーンを見ると、相手C#63とG#75は横を向く形になっていることが分かり、リードに対応できていません。このようなチームワークが非常に効果的に機能したようです。


③ シャキーム・グリフィンをパスラッシュに起用

 アンサをサイドラインに下げ、今シーズン初のスナップとなるグリフィンを投入したことも、鍵となったかもしれません。
 3rdダウンパスシチュエーションにおいて、クラウニーの逆サイドで、アンサ、グリフィンともに14スナップだったのが、4Qではグリフィンのみの起用となります。スピードが武器の彼はチャンスを与えられますが、そのラッシュに関してはガロポロにプレッシャーは与えられておらず、仮に与えられていたとしても、彼がフィールドを見渡す3.8秒を過ぎたあとのことで、時すでに遅しといった状況だった、という見方もあります。
↓シャキーム・グリフィンの全スナップ


 ただ、オフシーズンでシャキールとともに肉体強化を行ったことに加え、ウィークサイドからストロングサイドへのポジションの移動によって、カレッジ時代の彼のプレーがNFLのフィールドでも見られるようになったことで、今回の起用は有効だったとも言えます。
 1年早くNFL入りしたシャキールに続き、2018年、同じシーホークスにドラフトされたシャキームは、そのハンディキャップをハンディキャップとしてとらえる私たちの姿勢そのものを変えてくれるような、鮮烈なデビューを果たし、日本のメディアにも取り上げられるほどでした。
www.asahi.com

最後に

 パスラッシュの改善はオフシーズンからさんざん叫ばれ、1巡目指名やベテランの加入をもってしても、なかなか効果は表れませんでした。アンサに関しては、シーホークスのパスラッシュに「何ももたらしていない」と酷評されてしまうなど、その限界説もあります。シーズン開始に間に合うかどうか、と言われていた怪我が長引いていることが大きいと思われます。怪我に関して言えばルーキーのコリアーも、ルーキーであること以上に苦しんでおり、また、ラシーム・グリーンやブランドン・ジャクソンがプレシーズンで活躍を見せましたが、彼らがレギュラーシーズンの中盤まで重要になるとはあまり考えにくかったのではないでしょうか。シーホークスは結局、クラウニーのみでしか補強に成功しなかったと言えるかもしれません。
 プーナ・フォードはこれまでも少しながら成績は良く、昨年のパスラッシュの要であったジャーラン・リードが本調子になってきたことで、チームプレーが機能し始めます。そしてシャキーム・グリフィンがパスラッシュに加わることとなりますが、これを最終手段と見るか、これまでからの単なる方向転換と見るかは難しいところであり、グリフィンがパスラッシュに貢献できているかも微妙です。彼が今後のタフなスケジュールで、どのようにプレッシャーをかけ、チームプレーのディフェンスに変化をもたらすのか、注目されます。
 49ers戦の結果のみでパスラッシュに安心することはできない一方で、パスプロテクションランクは7位といわれる49ersのOLを圧倒する場面が多かったのは事実であり、これがメンタル的にもプラスにつながるはずです。プーナ・フォードの活躍は、サック数のみでは測りえないチームプレーによるパスラッシュの重要性や効果を示しており、クラウニーというキーパーソンを支えるチームプレーが今後も重要になるでしょう。これはセカンダリー陣とのチームワークとも関連し、パスラッシュの成功が、カバレッジに大きく影響することが期待されます。


参考:
Seahawks' pass rush hasn't developed like was expected
Seahawks finally give Shaquem Griffin chance to use his speed as rusher - Field Gulls
Seattle Seahawks pass rush wakes up against 49ers’ front | Tacoma News Tribune
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=11&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwi-0IiSqPblAhXSP3AKHd60Dd84ChC3AjAAegQICBAB&url=https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3DgXRUG7pxfjE&usg=AOvVaw18NPntUsGXlAuyvOSfbse3
Clayton: If Seahawks are going to win division, pass rush must get going
A 3rd Seahawks D-lineman deserves credit for Reed sack, Clowney TD
https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33379/seahawks-hope-jarran-reed-can-spark-their-lagging-pass-rush
2019 NFL OFFENSIVE LINE RATINGS | Football Outsiders