【33】2019-2020シーズン week12 vs.Eagles
バイウィーク明けの今週は、49ers戦で見せたディフェンスの強さがどれほど完成度のあるものなのか注目される試合でした。シーズン序盤はウィルソン率いるオフェンスに頼る形だったチームは一転し、ディフェンスがチームを支えることになり、クラウニー不在の中でもしっかり機能したディフェンスが5回のターンオーバーでイーグルスを下しました。
②スタッツ
passing | c/a | yds | TD | INT |
---|---|---|---|---|
QBウィルソン | 13/25 | 200 | 1 | 1 |
rushing | car | yds | TD | |
RBペニー | 14 | 129 | 1 | |
RBカーソン | 8 | 26 | 0 | |
receiving | rec | yds | TD | |
WRロケット | 1 | 38 | 0 | |
WRメットカーフ | 3 | 35 | 0 | |
WRターナー | 1 | 33 | 1 | |
TEホリスター | 2 | 22 | 0 | |
fumbles | fum | lost | rec | |
QBウィルソン | 1 | 1 | 0 | |
RBカーソン | 1 | 0 | 0 | |
DTウッズ | 0 | 0 | 1 | |
DTジェファーソン | 0 | 0 | 1 | |
Sディッグス | 0 | 0 | 1 |
③注目選手
RBペニー(!)
これまでの度重なる怪我や、カーソンのバックでの我慢から、一気に花開いた2年目の1巡目指名選手ペニーは、カーソンと立場を逆転させるゲーム内容となりました。14キャリー、128ヤードを獲得し、4Qの58ヤードTDランは、カーソンのバックアップの不安を吹き飛ばすものとなりました。
キャロルいわくフラストレーションがたまっていたペニーですが、素晴らしい練習をしてきて、ここ3週の練習は特に良かったということです。オフシーズンには大好きなマクドナルドもやめて減量をし、プロのNFL選手としてしっかりとフットボールに向き合うことができたと語る本人は、皆がその立場上カーソンとは仲が悪いのではないかと言うが、お互い仲が良く、そしてカーソンから多くのことを学んでいる、とも語り、だからこそ根気強く機会を待ち、カーソンのサポートに徹することができたようです。
一方のカーソンは12キャリー、57ヤード、1ファンブル(ファンブルは7回目)でした。ハンドオフミスは完全に彼の責任ではありませんが、今シーズン2度目です。
レシーバー陣(モーア、ターナー、ゴードン)
ロケットの怪我の影響もあってか、パスオフェンスの輝きは影を潜めましたが、WRモーアは体格差を活かしたミスマッチで活躍しました。WRターナーのフリーフリッカーによるパスキャッチは、キープレーとなりました。WRゴードンも、新加入ながらウィルソンのスクランブルに対応したブロッキングをし、3rdダウンコンバージョンでの重要性も高くなっています。
パスラッシュ&セカンダリー
ディフェンスはほぼ全員がそれぞれのプレーで貢献していたといっても過言ではないほどでした。まずパスラッシュでは、クラウニーがインアクティブだったことに加え、リードも途中で抜ける状態でしたが、うまく機能しました。アンサはようやく活躍をみせ、1.5サックと1FFを記録します。グリーンも、1FFやジェットスウィープシャットダウンでロスにつなげるなど、ベテラン陣に増して活躍しています。ジェファーソンやフォード、ウッズも、FRだけでなくランストップやパスゲームのプレッシャーでしっかり貢献しました。パスラッシュに新たに加わったLBグリフィンも活躍し、チームで合計3サック、9QBヒットとなっています。
セカンダリーについてはCBフラワーズが、CBグリフィンとは対照的に苦しむシーズンになっていましたが、7タックル、3PBU、1INTを決めています。またSディッグスが1FFとリカバーを記録し、カバレッジの成熟は目を見張るものがあります。
NBCsportsのJoe Fannの分析によると、ディッグスの加入後、シーホークスディフェンスは相手のオフェンシブTDをたった2回に抑え、8回のサック、8回のテイクアウェイを決めており、これは偶然の一致ではないということです。まずワグナーの語るように、皆がディッグスを信頼し、彼がチームに自信を与えており、かつてのアール・トーマスがそうだったように、セーフティネットの要としてのFSのポジションをキャロルHCが重要視する理由はここにあるようです。 そしてディッグスの加入とセットで考えるべきがマクドゥーガルドであり、これまでトンプソンのミスや、活躍はあったもののまだ早すぎるブレアという面々の中で、FSでプレーすることもあった彼が、本来のSSでプレーすることでベストパフォーマンスにつながっているのです。これにより、パスラッシュによるプレッシャーと相まってマクドゥーガルドのINTが今回生じています。これはディッグスの加入とパスラッシュの成功の賜物と言えるでしょう。
④課題
ペナルティ
3Qの時点で、相手が0だったのに対し7つのペナルティを取られ、最終的には12個、90ヤードを与えています。現在リーグ13位のペナルティ数、喪失ヤードとなっています。
パスゲームのミス
TDパスになるはずだったボールを落としたメットカーフや、オープンだったTEホリスターへのウィルソンの投げミスなどで、パスオフェンスはこれまでのような強さを見せられませんでした。ウィルソンのINTの場面はチップされており、完全な彼のミスではありませんでしたが、今シーズン3つ目のINTとなりました。それでもウィルソンは、8シーズン連続で勝ち越した、NFL初めてのQBとなって、歴史に名を刻むこととなりました。
⑤TE問題
ディスリーのシーズン終了に伴って問題となっているTE不足ですが、ディクソンがIRから復帰することが報じられた直後、IRに逆戻りでシーズン終了となってしまい、シーホークスは練習生のタイロン・スウープスと契約しました。今回の試合はTEウィルソンがインアクティブで、TEはホリスターとスウープスのみでした。
また、ディクソン関連でCBテイラーがリリースされたことに伴うニッケル問題は、アマディが代わると思われましたが、CBキングがその役目を担うこととなっています。
⑥まとめ
49ers戦に引き続き相手の主要選手の不在があり、またQBウェンツの不調も影響したと言えますが、ディフェンスは、毎年遅咲きのシーホークスらしく、そしてキャロル下のディフェンシブチームらしく、12週にして完璧なものになってきています。パスラッシュの成功が、台風の眼となったSディッグス率いるカバレッジと相互に影響し、霧の向こうにあったスーパーボウルの舞台が肉眼でも見えるようになってきたと言えます。
ペニーの活躍と、カーソンのセキュリティー問題は、完全な立場の逆転を意味するものではなく、むしろこれが本来あるべきだった、2人のRB(プロサイズやホーマーもいますが)のローテーションによるランゲームの構築だったのだと思います。セキュリティー問題がコーチ陣にそろそろ決断をさせる可能性はあるにせよ、両RBによるランゲームが相手を脅かしてくれることに期待が集まります。
クラウニーの怪我は心配が少ない一方で、DTリードと、試合に参加するもキャッチが大幅に制限されているロケットには心配が残り、さらに実質ホリスターのみに頼るTEが、悩みの種となっています。次週、非常に重要なバイキングス戦も、強力ディフェンスが試合のカギを握ることとなります。
参考:
・Seahawks 3 Stars: Rashaad Penny is money in road win over Philadelphia
・Quandre Diggs praised by Pete Carroll for quickly improving Seahawks’ defense – ProFootballTalk
Quandre Diggs praised by Pete Carroll for quickly improving Seahawks’ defense – ProFootballTalk
・Rashaad Penny's breakout game could lead Seahawks to rethink offensive strategy moving forward - CBSSports.com
・https://www.espn.com/nfl/recap?gameId=401128008
・https://www.nbcsports.com/northwest/seattle-seahawks
・https://www.nbcsports.com/northwest/seattle-seahawks/analysis-why-quandre-diggs-single-handedly-makes-seahawks-legit-contender
・https://www.espn.com/nfl/team/_/name/sea/seattle-seahawks
・https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33485/suddenly-strong-defense-leads-seahawks-to-sloppy-win-over-eagles