ネイビーウィングの翔破

シアトル・シーホークス応援ブログ

【12】3人とFA契約&ボールドウィン、チャンセラーとの決別

3人のFA選手と契約

 ここにきてシーホークスは、さらなるベテラン選手をチームに追加しました。CBのジャマ―・テイラー(Jamar Taylor)*1、FBのニック・ベロア(Nick Bellore)、Gのマーカス・マーティン(Marcus Martin)*2との契約が伝えられました。

 

  先月、シーホークスを訪問していたテイラーは、2013年にドルフィンズに2巡目で指名され、2016年にブラウンズにトレードされた後、昨年の5月にカーディナルズに移籍しました。カーディナルズで10試合出場した後にリリースされ、シーズンの最後の月をブロンコスで過ごしました。キャリアで219タックル、3つのインターセプト、2回のファンブルフォースを記録しています*3

 ベロアは2011年のドラフト外でLBとして入り、2016年には49ersで10試合に出場、83タックル、5回のパスディフェンス、1回のインターセプトを記録しますが、2017年のライオンズ時代にFBへと転向します。ライオンズでは1キャリ―でノーゲイン、5キャッチで16ヤードを記録、スペシャルチームで主に活躍しています。

 マーティンは49ersに2014年3巡目で指名され、その後ブラウンズへ移籍、昨年はカウボーイズでIR入りをしています。キャリアでは24の先発を記録しています*4*5

 

ありがとう。ボールドウィン、チャンセラー

  昨年からの度重なるケガに苦しみ、引退も囁かれていたWRのダグ・ボールドウィンと、2年間ケガによって出場機会を失ってきたSのカム・チャンセラーが、リリースされることが報じられました。シーホークススーパーボウル制覇時代の貢献者たちを、残念な形で失うことになります。

 ボールドウィンはリリースの前に引退すれば、シーホークスに契約ボーナスの一部の2.8Mドルを支払うことになり、同時にシーホークス側も難しい判断を迫られていたようです。

 ジョン・シュナイダーは、2人について、フランチャイズの歴史でもっとも象徴的な選手であり、2人ともチャンピオンシップへ貢献し、競争の良い手本となり、フィールド上でもコミュニティの中でもリーダーシップを発揮してくれたことを語っています。

 ボールドウィンは2011年にドラフト外で入団、8年間で493キャッチ、6563ヤード、49タッチダウンを記録、2015年にはリーグトップの14タッチダウンを記録しています。これらはシーホークスの歴史上、2番目のタッチダウン数、3番目のキャッチ数とレシービングヤード数になります。

 チャンセラーは2010年の5巡目指名、8年間で606タックル、12インターセプト、9ファンブルフォース、44パスディフェンスを記録、4回のプロボウルへの選出もあります。*6*7*8

 CBSsportsのJamey Eisenbergは、ボールドウィンのリリースによる他のレシーバーの活躍の機会について解説しています。ロケットは昨シーズン、ボールドウィンが万全でない中で、シーホークスのトップレシーバーとなり、71ターゲット、57レセプション、965レシービングヤード、10タッチダウンを記録しています。ただランゲームへの偏りで、パスのアテンプトは減っていて、それがレシーバーの躍進に制限をかけているのも事実です。D.K.メットカルフ、デヴィット・モーア、ゲリー・ジェニングス、さらにはTEの3人、特にウィル・ディズリーの向上が、ラッセル・ウィルソンが高いレベルのQBとしてプレイし続けることにつながるとしています。クリス・カーソンやラシャード・ペニーが健在の中、ランゲームの心配はなく、2019年はレシーバーの躍進の機会になるようです*9

 

最後に

 エゼキール・アンサをパスラッシャーとして追加したのち、さらにCB、FB、Gの3人との契約がなされ、シーホークスはベテラン選手の追加によって補強の最終段階に入っているようです。

 CBについてはこれまでの記事で、個人的に補強が必要だと考えていたポジションであり、今回の契約は喜ばしいものです。ジャスティン・コールマンの穴を埋めるにおいて、コーナーやニッケルでも動けるルーキーのウゴ・アマディや、現行のシャキーム・グリフィンらとのスターター争いは激しくなりそうです。今回のテイラーについては、スタッツのみを見るとコールマンと同等な感じもしますが、リチャード・シャーマンのような能力には乏しく、それはインターセプト数で顕著です。チームを渡り歩いている点も不安要素ではあるように思います。

 FBのベロアは主にスペシャルチームでの起用であると考えます。シーホークスのこのオフシーズンにおける課題として、スペシャルチームの改善は意外に重要視されているようです。Gのマーティンの追加は、ドラフトとドラフト外で加入している他のGや現行選手たちとの争いに一石を投じそうです。前回の記事では特にOTの補強についての分析がありましたが、OLについてはGの補強が重要なようです。これはランゲームのさらなる向上を意味するのでしょうか。

 そして、ボールドウィンとチャンセラーは、2人ともケガによるリリースという残念な形になってしまいました。ただシーホークスへの貢献度は誰も疑う余地はありません。頼れるWRと、LOBの立役者であったSのリリースは、シーホークスの伝説の終わりと、新たな時代の幕開けを意味するものでもあります。

 誤解を恐れずに言うならばこのリリースは、お金のセーブが背景にあったものだと思います。今後、まだベテラン選手との契約延長問題などは残り、そこに今回のリリースがどう影響してくるのか注目です。

 FAの解禁の段階で、このオフシーズンの優先順位については、まずはFAで失う選手との契約問題やその穴埋めを、そのあとにドラフトへの集中、そして最後に2019年で契約が終了する選手の契約延長の交渉、という順番になることが示唆されていました*10。この優先順位が正しければ、シーホークスはオフシーズン序盤からFA問題やドラフトについて、かなり緻密に計算をして臨んでいたと言えそうです。そうするとここにきてのFA補強はその想定の範囲内であり、ベテラン選手たちのリリースもそこに組み込まれていたのかもしれず、そう考えると、まだわかりませんが、シーホークスはオフシーズンで成功を収めることになるのかもしれません。

 

今回は以上です。