ネイビーウィングの翔破

シアトル・シーホークス応援ブログ

【39】2019-2020シーズン wild card playoff vs.Eagles

 序盤にカーソン・ウェンツが離脱し、40歳のジョシュ・マカウンに代わった相手オフェンスに対し、ディッグスも戻ったディフェンスはプレッシャーをかけ続けました。ランが軌道に乗らなかったオフェンスは修正を果たし、パスゲームによってシーホークスグリーンベイへの切符を手にしました。

①スコア

1Q 2Q 3Q 4Q
シーホークス 3 7 7 0 17
イーグルス 0 3 6 0 9

②スタッツ

passing c/a yds TD INT
QBウィルソン 18/30 325 1 0
rushing car yds TD
QBウィルソン 9 45 0
RBホーマー 11 12 0
RBリンチ 6 7 1
receiving rec yds TD
WRメットカーフ 7 160 1
WRロケット 4 62 0
WRモーア 2 57 0
defensive tot solo sack
Sマクドゥーガル 11 8 1
DEクラウニー 5 5 1

③注目選手

◉QBウィルソン

 普段に増して、ウィルソンに頼るゲーム展開となりました。18/30、325ヤード、1TDを獲得したウィルソンは、ESPNデータにおける30以上のairヤードで、51.9パーセントのパス成功率を記録し、これはリーグ最高となっています。また、今シーズンはプレイアクションのパスプレーにおいて9TD、0INTと好成績です。
 相手プレッシャーから逃れ続けたウィルソンはサックを1回しか許していません。それにより、またランオフェンスの不調に伴い、9キャリー、45ヤードのリーディングラッシャーとなっています。

◉メットカーフ

 53ヤードTDで一気に試合を動かしたメットカーフは、最終的に7キャッチ、160ヤードを記録しています。これはプレーオフにおけるルーキー記録を塗り替えるもので、当然のことながらプレーオフでのレシービングヤードとしてフランチャイズ記録となりました。
 ウィルソンは10~15ページに及ぶ戦力分析報告(スカウティングレポート)をメットカーフに渡していたそうですが、誰にも増してメットカーフは勉強熱心だったようです。プロテクションやDBの選手が誰なのかということから、LB陣、さらには4年前に相手はどう動いたのかということまで理解していたと言います。
 ウィルソンによればセパレーションは知能的な部分であり、その点において熱心だったメットカーフはウィルソンの信頼をしっかり得ています。試合を決定づけた最後のパスにおいて、オーバースローするよりも、アンダースローによってメットカーフに対応させるほうがいいと考えたことをウィルソンは明かしています。
 この1年を通してウィルソンはメットカーフに、「ボールが落ちてくることに任せるな、自ら向かっていけ(Don’t let the ball come down.)」と繰り返し伝えており、メットカーフはあの瞬間、そのことだけを考えて、ボールに向かっていったのだと語っています。ウィルソンがあの場面で自分を信用してくれたことに感激しているようです。
 ラテラルでの俊敏性やルートランニング能力に対する疑問の声、そして首の怪我もあったメットカーフですが、背中に筆記体で彫られた”miracle”のタトゥーは、その怪我が理由だと言います。神が大学時代にミラクルを与えてくれた、だから全てを当然のこととは思わない、どんな練習も自分にとって最後同然にこなす、そう語る彼はルーキーイヤーの今年、努力によってミラクルを勝ち取りました。

◉サック

 レギュラーシーズンで通算28回だったのが、今回7サックと、ここにきてシーズンハイを記録しました。イーグルスがRGとRTでスターターを欠いていたことが大きな理由だと考えられます。また、ディッグスの復帰がディフェンスに良い影響を与えていることは確かで、ディッグスあり(相手QBレーティング77.1、5.40ypp)とディッグスなし(相手QBレーティング89.2、6.29ypp)とでは明白な差があります。

④課題

◉ランオフェンス

 リンチの5ヤードTDでは、セカンド、サードエフォートでエンドゾーンまでこぎ着ける盛り上がりを見せました。しかしホーマーとリンチで計19ヤードのみの獲得となっています。キャロルはリンチがもっとフィールドを走るのを見たいと言い、Week17でライオンズに171ヤードを許すなどランディフェンスの脆弱性が見られるパッカーズディフェンスに対し、どこまで記録を伸ばせるか注目されます。

◉ペナルティ

 シーズン終盤はクリーンゲームが続いていましたが、今回はクラウニーらのオフサイドや、PIを繰り返すフラワーズなどによって、11回のペナルティを記録し、114ヤードを喪失しています。

⑤まとめ

 前半で4点差以上つけた試合において、プレーオフを含めて2012年以降56勝0敗であったシーホークスは、そのジンクスを確信的なものにしています。カウボーイズに負けた2018年のプレーオフではランゲームに固執し過ぎたことが指摘されますが、今回は伸び悩んだランオフェンスから、プレイアクションを効果的に用いながら方向転換を図り、結果的にメットカーフの大記録がシーホークスを勝利に導きました。ウィルソンとの信頼関係、ルーキーとしての努力、強靭な肉体にとどまらずフットボールに対して知能面で学習する姿勢、そういった全てが、2巡目で彼をドラフトしたシーホークスに対しての、メットカーフの応えであると言えます。
 オフシーズンに、試合状況に応じて勝ち方を変えるのがシーホークスオフェンスの強みだとショッテンハイマーOCが語っていましたが、その真意をプレーオフで見せつけたことになりそうです。ただ、プロテクションも含めOLに問題があるのは事実であり、各選手のマッチアップや、ジャマルコ・ジョーンズのポジションなどを考慮していく必要があります。
 サック数の多さは顕著でしたが、最も大きかったのはマカウンの登場です。クラウニーのタックルでウェンツは頭部に怪我を負いましたが、もちろんクラウニーは故意ではなく、強い熱意や努力で試合に臨んだと語っています。オフィシャルもヘルメットのヒットは偶発的だったと指摘し、ペナルティには至りませんでした。
 さらなる敵地に向かうシーホークスですが、ロードウォーリアーとしてあらゆる予想を覆し(今回のポストシーズン各試合で予想があてにならないことは明らかとなりました)、マイアミまで突き進んでほしいです。


参考:
Pete Carroll wants to see Marshawn Lynch do more – ProFootballTalk
https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33686/russell-wilson-dk-metcalf-connection-sends-seahawks-to-green-bay
https://www.espn.com/nfl/story/_/id/28430694/seahawks-dk-metcalf-revels-record-day
https://www.espn.com/nfl/recap?gameId=401131039
https://www.espn.com/nfl/story/_/id/28429695/russell-wilson-dk-metcalf-connect-deep-extend-seahawks-lead
https://www.espn.com/nfl/story/_/id/28429544/marshawn-lynch-goes-full-beast-mode-give-seahawks-lead-philly
https://www.espn.com/nfl/story/_/id/28429208/carson-wentz-seahawks-head-injury