ネイビーウィングの翔破

シアトル・シーホークス応援ブログ

【40】2019-2020シーズン divisional playoff vs.Packers

 3つのTDで前半にリードされたシーホークスは、後半にウィルソンがオフェンスを引っ張って持ち直します。しかし最後の3rdダウンでサックされ、4thダウンでパントを選択したのち、再びオフェンスの出番が回ってくることはありませんでした。今シーズンを終えるシーホークスは、ランボーフィールドでは1999年の勝利以来、9連敗となります。

①スコア

1Q 2Q 3Q 4Q
シーホークス 3 0 14 6 23
パッカーズ 7 14 7 0 28

②スタッツ

passing c/a yds TD
QBウィルソン 21/31 277 1
rushing car yds TD
QBウィルソン 7 64 0
RBリンチ 12 26 2
receiving rec yds TD
WRロケット 9 136 1
WRメットカーフ 4 59 0
TEホリスター 5 47 0
defensive tot solo sacks TFL QBhts
CBフラワーズ 7 5 0 0 0
DEクラウニー 7 4 0.5 1 2

③注目選手

◉ウィルソン

 7回のスクランブルで64ヤードを獲得し、21/31、277パッシングヤードを記録しています。21-3で押されていましたが、後半の開始後3連続TDで巻き返しを支えました。PFF WAR(選手のフィールドでのパフォーマンスの成績から、そのパフォーマンスがどれほど評価できるかということまでの情報を取り入れるための、選手のパフォーマンスと、それが勝利へどれほど重要であったか、そしてこれまでのその選手のプレーの傾向という3点をあわせた、選手の評価モデルとしてPFFが掲げている)という評価において、ウィルソンは今シーズン、リーグ最高の成績であり、QB無しでのこのWAR成績においては、ジェッツやベアーズ、ブロンコスについで20位という成績であるなど、ウィルソン個人の重要性は、特に今シーズン顕著でした。

◉ロケット

 9キャッチ、136ヤード、1TDを獲得したロケットは、ポストシーズン出場経験のある頼れるベテランとして、ウィルソンのパスオフェンスをしっかり繋げました。

④課題

◉パスラッシュ

 クラウニーが7タックル、0.5サック、2TFLを記録するも、試合全体では6QBヒット(ウィルソンは被10ヒット)、2サックにとどまりました。2019年のオフシーズンで最優先とされてきたパスラッシュの改善は今シーズンのみでは果たされず、今年のオフシーズンに持ち越しとなります。
 また、レギュラーシーズンで32回であったターンオーバーはリーグ4位の数でしたが、直近4試合では0回でした。

◉若いCB陣

 グリフィンとフラワーズ、ニッケルのアマディはデヴァンテ・アダムスを止められず、パスディフェンスの欠陥を大きく突かれる展開となりました。アダムスは8キャッチ、160ヤード、2TDを獲得しています。

◉自陣36ヤード、4th&11でのパント

 最後のプレーで旧友ジミー・グラハムが1stダウンを獲得した数インチの問題よりも、その発端とも言える4thダウンでのパントが物議をかもしています。キャロルもウィルソンも、これは正しい判断であり、残っている3つのタイムアウトを考慮してボールを取り返そうと考えたと言います。しかしパッカーズに3rdダウンコンバージョンを2回決められ、シーズンは終了することとなりました。
 このパントについて、NBCsports northwestのJoe Fannは否定的です。ボールを取り返すためには2回の3rdダウンのうち1回を止めればよいということで、蹴られたパントでしたが、ロジャースがこの2回のコンバージョンを成功させたことには驚きはなく、それは先述のCBの状況からも明らかです。パッカーズはこの試合で3rdダウンを9/14で終えています。ところがシーホークスも実際、プレーオフの3rd&10以上のロングシチュエーションで4/7、57%の成功率を保持しており、ウィルソンの成績が8.94ypp、9.14ypr(現在プレーオフにおいて4位のラッシングヤードを記録)であったことを踏まえ、4thダウンコンバージョン成功の見込みはあったと言えます。しかしながらいずれにせよ、ESPNのSeth Walderの指摘するようにパントであってもギャンブルに突き進んでいたとしても、あの時点での勝率は変わらなかったと考えられます。Fannがより疑問を呈しているのは、シーズンを通してのキャロルの姿勢として、もはやエリートがいないということを認識しないままディフェンスへ信頼を置いている点であり、MVP候補のウィルソンからボールを手放してはならなかったのかもしれません。

⑤まとめ

 ディビジョナルラウンドにおいて、シーホークスは文字通りボロボロになってシーズンを終えることとなりました。ジャマルコ・ジョーンズは2Qにフィールドから去り、ルーキーのフィル・ヘインズが必然的にLGに入ることとなりました。クイントン・ジェファーソンは足の骨折でアウトとなり、ジョーイ・ハントは右指の脱臼を抱えながら試合に臨みました。コアマッスル(背骨や骨髄周辺のインナーマッスル)の怪我をずっと抱えてきたクラウニーも、アンサのいないラッシュ体制の中で試合に出場しました。ワグナーも膝と足首に問題を抱えているようですが、手術が必要か否か以前に本人も怪我の状況をまだ把握しきれていないようで、オフシーズンに向けて状態は不透明です。
 最終戦となったこの試合で見られたディフェンスの弱みは、これまでのある種盲目的、楽観的見方を改めて明らかにし、同時にその誤りを示したと言えます。ベテランの必要性はシーホークスにとってより大きいものとなっています。セカンダリーにタレント選手を欠くことによって、基本の4-3ディフェンスでプレーする確率が70%(40%を超えるチームは無し)となっていることから、おなじみの指名権増加やFAを駆使して改革する必要があります。
 周知のランヘビーオフェンスについて、PFFのEric Eagerによれば、パスの確率がリーグ25位でありランが40%を占めるシーホークスオフェンスは、1st、2ndダウンにおけるランは55%、1スコアゲームにおいても52%です。1スコアゲームにおける最初のダウンでのランで、シーホークスよりランを多用し成功しているのはレイブンズや49ersなどのチームでその数は多く、シーホークスより成功率が低いのはジェッツ、スティーラーズドルフィンズ、ライオンズのみとなっています。シーホークスはこのオフェンスで十分な成功を収めているとは言えず、このオフシーズンにその転換が考えられます。そしてこの点において、プロテクションの観点からOLの強化が必要となりますが、怪我が多いことに加えFA市場に出る選手もいる中で、うまく改善が図れるのか注目されます。


参考:
https://www.espn.com/nfl/recap?gameId=401131042
https://www.espn.com/blog/seattle-seahawks/post/_/id/33724/seahawks-loss-to-packers-shows-need-for-upgrades-on-defense
https://profootballtalk.nbcsports.com/2020/01/14/seahawks-center-played-half-a-season-with-stress-fracture/
https://profootballtalk.nbcsports.com/2020/01/14/exit-physical-showed-knee-and-ankle-issues-for-bobby-wagner/
https://twitter.com/SethWalder/status/1216572856169107457
https://www.nbcsports.com/northwest/seattle-seahawks/fann-i-still-think-seahawks-should-have-gone-it-4th-and-1
https://www.pff.com/news/nfl-how-each-divisional-round-loser-can-compete-for-a-super-bowl-in-2020-2
https://www.pff.com/news/nfl-what-is-pff-war-and-why-it-shows-russell-wilson-is-the-mvp