【3】クラークのトレードとドラフトの展望
フランク・クラークのトレードが、チーフスとの間で成立しました。
以下、トレードの詳細です。
シーホークス | チーフス | |
---|---|---|
全体29位指名権、2020年2巡目指名権、2019年3巡目指名権 | フランク・クラーク、2019年3巡目指名権のスワップ |
トレード成立の理由
NFLnetworkが今回のトレードについて報じています。今回のトレードが成立した理由として、まずシーホークスはクラークを手放すことによって指名権の増加、それによる選手の獲得数の増加を狙ったこと、そしてウィルソンとの契約や今後のワグナー、リード、その他の選手との契約を視野にいれたことが挙げられます。チーフスは、ディー・フォードやジャスティン・ヒューストンのいないDEの補強において、クラークというスター選手が合致したことが大きな理由です。
このトレードの評価
①チーフスは損をしたのか
NBCsportsのマイケル・デイビッド・スミス(Michal David Smith)は、このトレードに関して、ディー・フォードのトレードに言及しています。
チーフスは2019年1巡目指名権と2020年2巡目指名権を失いましたが、今オフシーズンに49ersとの間で、2020年2巡目指名権をディー・フォードとトレードしています。実質的にチーフスはディー・フォードと1巡目指名権をトレードして、フランク・クラークを得たことになります。クラークもフォードも昨シーズン13サックを決めていますが、チーフスはクラークがフォードより優れていると考えたようです。ただ、報じられている5年間105Mドルの契約を結び、1巡目と2巡目の指名権を失ったことは、ライオンズがトレイ・フラワーズに5年90Mドルで契約し、ドラフト指名権を失っていないこととは、対照的です。
②トレードのためのフランチャイズタグだったのか
また別の記事で、クラークにフランチャイズタグ付けを行ったのは、このトレードに向けての最初のステップだったのか、という点について報じています。もしクラークを単純にFAで失った場合、いわゆるドラフト指名権利補償(compensatory pick)で2020年の3巡目指名権を得るのみだったところを、タグ付けによって今回の指名権の獲得につながっています。もしシーホークスがチーム残留のためではなく元からトレードのためにタグ付けをしたのであれば、GMのジョン・シュナイダーの「彼を愛している」という発言の恐ろしさを感じざるを得ません。
ただ、同じようなフランチャイズタグの行使を他のチームが行っていない点について、例えばペイトリオッツはトレイ・フラワーズ、ジャイアンツはランドン・コリンズにタグ付けしていれば補償による指名権以上のものを得られたのではないかという疑問が生じます。この点、おそらく両チームはフランチャイズタグ規定の真髄を尊重したものと思われます。本当にチームに残しておきたい選手に行使するべきだというものですが、実際これに従ったとしてもトレードを完全に防ぐことができるわけではなく、またチームは、昨シーズンを棒に振ったレべオン・ベルのような、フランチャイズタグ付けされた選手の「ブラフ」にも警戒する必要があります。
①https://profootballtalk.nbcsports.com/2019/04/23/chiefs-give-up-far-more-for-frank-clark-than-they-got-for-dee-ford/
②https://profootballtalk.nbcsports.com/2019/04/24/seahawks-gained-big-by-franchising-frank-clark/
獲得した指名権のゆくえ
CBSsportsのクリス・トラパッソ(Chris Trapasso)は、シーホークスの指名について改めて予想しています。クラークの穴埋めを行うのは論理的であり、クレリン・フェレル、モンテツ・スウィート、ブライアン・バーンズが21位指名では理想的としています。29位指名までEDGEをとらなかった場合、チェイス・ウィノヴィッチのアスリート能力が、現在のシーホークスがEDGEに求めている面に合致する点が多いとしています。何とかしてD・K・メットカルフが21位まで残っていた場合は、ウィルソンの新たなターゲットとなる可能性もあるとしています。そのほか、Sジュアン・トーンヒル、G/Tコディ・フォード、CBジョーユアン・ウィリアムズ、ロニー・ジョンソンが挙がっています。
ただ、先述のNFLnetworkのイアン・ラポポート(Ian Lapoport)は、シーホークスはこのドラフトでもちろんクラークの代わりを探すことになるが、指名権のトレードも続くことになるだろう、としており、現時点での指名権は再び上位指名権の獲得に使われるかもしれません。
指名権の増加に成功し、今後の選手獲得ないし指名権獲得につながったこと、そしてまだ契約に至っていない主力選手の契約への足がかりができたことから、シーホークスにとってこのトレードは有意義なものだったと思います。
個人的には、シーホークスが再び指名権のトレードを狙うとしても、順位を下げることによる数の増加を図ると考えます。また、今はない2巡目指名権の獲得に動きだす可能性も考えられます。
ニック・ボーサ、ジョシュ・アレンという大型EDGEが獲得されたあと、モンテツ・スウィート、クレリン・フェレル、ブライアン・バーンズなどが21位指名まで残っているというのが大方の予想であり、やはりクラークなき今、ここで素直にEDGEの獲得を狙うと考えられます。
いよいよ日本時間明日に迫ったドラフトが楽しみですね。
今回は以上です。