【31】2019-2020シーズン week10 vs.49ers
今シーズン無敗の49ersに挑んだ同地区対決は、両チーム計7回ものターンオーバーが起こるディフェンシブゲームとなりました。2週連続のOTで最後はキッカーにすべてが託される展開となりましたが、マイヤーズは40ヤード越えのFGもしっかりと決めました。運も味方してこの接戦に金星をあげたシーホークスは、プレーオフに向けて重要な1勝を得ることができました。
②スタッツ
passing | c/a | yds | TD | INT |
---|---|---|---|---|
QBウィルソン | 24/34 | 232 | 1 | 1 |
rushing | car | yds | TD | |
RBカーソン | 25 | 89 | 1 | |
QBウィルソン | 6 | 53 | 0 | |
receiving | rec | yds | TD | |
WRメットカーフ | 6 | 70 | 0 | |
TEホリスター | 8 | 62 | 1 | |
WRターナー | 2 | 35 | 0 | |
fumbles | fum | lost | rec | |
Gアイフェディ | 1 | 1 | 0 | |
RBペニー | 1 | 1 | 0 | |
WRメットカーフ | 1 | 1 | 0 | |
QBウィルソン | 1 | 1 | 0 | |
RBカーソン | 1 | 0 | 0 | |
DEクラウニー | 0 | 0 | 1 | |
DTフォード | 0 | 0 | 1 |
③注目選手
・DEクラウニー
これまでの9試合でたった2サックだったクラウニーはようやくその沈黙を解いたといった様子で、相手QBガロポロに数々のプレッシャーをかけ、試合を支配しました。1FF、2サック、5タックル、5QBヒットを記録したクラウニーは、PBWRもリーグ6位となっています(26.6%)。1年の「レンタル」としての位置づけだったクラウニーですが、契約延長の可能性も囁かれ始めています。
EDGEからのプレッシャーで外へ出たガロポロを、出場停止処分明けのリードや、フォード、ウッズがサックするというフロント4のチームワークがものをいいました。ピック6の場面ではリードのFFからのリカバー、逆にクラウニーのサックからのフォードのリカバーもあり、パスラッシュは強敵を前にして絶好調となりました。この試合、サックは合計5、QBヒットは合計10となっています。
・CBグリフィン
OTのビッグPBUなど、活躍を見せ続けるグリフィンは今シーズン、CB全体2位の10PBUを記録するに至っています。オフシーズンでも紹介しましたが、兄弟で料理人を雇うなど、減量による肉体的な改善を果たし、さらにシャーマンの後継という意識から、自分自身のゲームに専念するというメンタルの変化を遂げた彼は、非常に重要なCBとなりつつあります。こうしたセカンダリーとパスラッシュがあいまって、ビッグ3rdダウンを何度も乗り越えた今回の試合は、"LOB2.0"を予感させてくれます。
・TEホリスター
もはやシーホークスになくてはならないTEとなったホリスターは、10ターゲットで8回キャッチ、62ヤード、1TDを記録しています。TEウィルソンが早々にサイドラインに下がりましたが、それに関わりなくホリスターはNo.1TEとして活躍し続けます。
・WRゴードン
加入したばかりのゴードンは、2キャッチ、27ヤードで、どちらも4Q、OTのビッグ3rdダウンでのキャッチでした。ロケットがサイドラインに下がったOTは特に、彼がいなければ49ersに圧倒されていたでしょう。INTを記録したSディッグスとともに、新規加入が早速重要プレーで貢献しています。
④課題
・ファンブル、INT
5回ものファンブルを記録しても、なぜかシーホークスはこの試合に勝っています。今シーズン通算で18ファンブルとなりました。RBペニーのファンブルはターンオーバーとなり、RBカーソンもリカバーできたもののファンブルを記録して、RBのセキュリティーに再びキャロルは頭を抱えそうです。シーズンハイのターゲット数となり、エンドゾーンでの主要ターゲットとなりつつあるメットカーフは、2ミニッツオフェンスにも関わらず欲が出てしまったのか、ルーキーらしいといえばらしいミスでエンドゾーン間際でボールを奪い取られました。
このターンオーバーについては、まず(ⅰ)ボールを奪い取った相手Sタルトがアウトオブバウンズに出ている点、そして(ⅱ)2012年のパッカーズ戦におけるゴールデン・テイトへのヘイルメリーパスで示された、ジョイントコントロールとボール確保という視点を考えなければなりません。(ⅰ)については、ボールキャリアーがインバウンズにいる限り、ファンブルさせようとする際アウトオブバウンズにいることは可能だという判定となりました。両足がアウトオブバウンズにある状態でも今回のような場合ボールに触れる資格はある(?)ということになるようです。「ボールを確保する前」に、タルトはインバウンズに戻ったので、今回のストリップは成立します。
しかし(ⅱ)を考えると、状況は変わってきます。ジョイントコントロールは、2人の選手が同時にボールを確保している状態であり、またボールの確保は両手、片手に関わらず成立するものであることが示されています。ジョイントコントロールの場合は最初にボールを確保したチームのボールになるということになります。片手であってもメットカーフがボールを確保しているように見え、ターンオーバーにはならないのではないかと考えられます。ただ、ほんの一瞬、メットカーフがボールを離して、再びつかんでいることが映像に残っており、この点からボールの確保は、メットカーフ→ジョイントコントロール→タルト→ジョイントコントロールという移りをしたとされ、2回目のジョイントコントロール時点ではすでにボールは49ersのものであり、ターンオーバーはエンドゾーンから2ヤードの地点で発生した、という判定になりました。 ウィルソンのファンブルをリカバーしたGイウパティは、なぜかニーダウンをせず走り出そうとして再びファンブルし、ピック6とされてしまいます。キャロルも何がしたかったのか分からない、と苦言を呈してます。
そしてウィルソンは今シーズン2度目となるINTを投げ、TEホリスターへの2度目のTDパスはかないませんでした。
・ペナルティ
1Qに多く発生したペナルティは、全体で9つ、75ヤードとなりました。ただ、CBソープに対するペナルティなど、審判の判定には数多くの疑問が残り、今回の試合を通してNFLのオフィシャルに対する疑念はさらに深まったとも言えます。
⑤まとめ
1Qで完全に流れに乗れず、ブリッツをかけてオープンスペースにパスを通されるというフロント4のプレッシャーによる問題点が露呈していたシーホークスが、ディフェンスをしっかり機能させて相手を封じ、ディフェンスの得点で流れを変えたことが重要となりました。そしてカーソンのランを中心とし、強力レシーバーをそろえたパスの成功が接戦を作り上げました。
ただ、逆転して迎えた4Qも安心している人は誰一人としておらず、ここでOTになるか逆転されるのがシーホークスだという不安は当然あった試合展開でした。それでも幸運がシーホークスに味方し、OTのコイントスで先週に引き続き登場したQBスミスが、HeadsでもTailsでもなく、審判もコイントスに参加したシャーマンも気づかない、"HAILS"で運を引き寄せ、Kゴウルドの欠場が最終的なFGに影響するという流れは誰にも予想できませんでした。
HAILS
— Geno (@GenoSmith3) 2019年11月13日
3時間を超える激闘の末、バイウィークを迎えられるのもまた幸運かもしれません。レギュラーシーズン最終週の再戦は気持ちよく勝利してほしいですが、ロケットは怪我でOTに参加できず、今後の出場も危ぶまれる中、メットカーフとホリスター、ゴードン、さらには今回2キャッチ、35ヤードを獲得してNo.3レシーバーとなる可能性もあるターナーと、復帰可能性の高いTEディクソンが、ウィルソンのターゲットとして活躍の幅を広げそうです。
参考:
・https://www.espn.com/nfl/team/_/name/sea/seattle-seahawks
・Seattle Seahawks News, Scores, Status, Schedule - NFL - CBSSports.com
・PFF SEA Seahawks on Twitter: "Shaquill Griffin has 10 pass-breakups this season (2nd-most among CBs), trailing only Jaire Alexander (11). #Seahawks"
・Seahawks-49ers: The strip of DK Metcalf was called correctly, after all - Field Gulls