ネイビーウィングの翔破

シアトル・シーホークス応援ブログ

【9】ルーキーミニキャンプを終えて&ボビー・ワグナーについて

 日本では、史上最長のゴールデンウィークも終わりを迎える中、米国シアトルでは、シーホークスのルーキーミニキャンプが終わりを迎えました。キャンプを終えてのピート・キャロルの評価についてと、ボビー・ワグナーについて気になる話がありましたので、紹介していきます。

 

 2019年ルーキーミニキャンプが終了

 2019年のルーキーミニキャンプが3日間の日程を終え、ピート・キャロルは9人のドラフトルーキーに関して言及しました*1。そのうちDE、S、LB、RBの選手に関する評価を紹介します。

 まずL.J.コリア―について、他のラインマンと同様にパッドがない状況だったようですが、シーホークスにフィットする選手であり、今後学ぶことは多く道のりは長いけれども、今回のキャンプでの彼の出来に満足している、と語っています。またTCU時代の、複雑なDLシステムの経験があるので、その点はシーホークスにおいてまったく問題ないだろうということです。

 Sのマーキス・ブレアとウゴ・アマディについて、2人とも賢い選手で、あえてプレッシャーをかけて対応させたシステムなどの多くのことを、しっかりとこなしてみせたようです。後述のLBのベン・バーカーベンとコディ・バートンと協力し合ってシステムへの対応を見せたということです。

 バーカーベンとバートンについて、LBの中でも突出する洞察力が見られ、また、コーチ陣とコミュニケーションを取ってさらに学ぼうとする姿勢も多く見られたようです。特にバーカーベンについてキャロルは、ゲームを非常に理解しており、ネイキッドやブーツレッグに順応できる点を評価しています。

 RBのトラビス・ホーマーについて、ランプレーのルートやプロテクションは申し分なく、パスキャッチの能力も素晴らしい、としています。

 

ボビー・ワグナーに関して

 ボビー・ワグナーにとって2019年がターニングポイントになるかもしれません。

 NFL.comのGrant Gordonによると*2シーホークスのみでプレイをしており、シーホークスでの引退をゴールとしているワグナーは、シーホークスで引退をしたいが、ビジネスであることは理解しており、今年がシーホークスでの最後の年であるかのごとく準備をしている、と語ったようです。ワグナーは今年、4年契約の最終年となりますが、新契約等の交渉はまだ始まっていません。

 一方、PFFのMichael Manningは、シーホークスというチームのディフェンスが大きく変わっていく中での、ワグナー個人の伸びについて分析をしています*3

 ディフェンス全体の成績(91.8)、タックル成績(92.7)、パスラッシュ成績(83.0)、カバー成績(95.3)でNFLトップを記録して、シーホークスが第48回スーパーボウルを制覇したのは記憶に新しいですが、第49回スーパーボウルでの歴史的惜敗を境にディフェンスは大きく様変わりし、リーグ優勝時の選手で残るのはK.J.ライトとワグナーのみとなりました。

 2012年ドラフト2巡目で指名されたワグナーはすぐに、2006年以来2番目に高い、88.4というルーキーLBの全体成績を記録し、そのシーズンのLBの中では3番目という成績を残します。頭角を現すワグナーですが、カバーやパスラッシュの足がかりを見つけはしませんでした。ルーキーイヤーののち、2年目でのスランプに陥ったワグナーはキャリアローの全体成績66.9を記録、2013年から2015年は厳しい3年間となります。その3年間でも全体成績75.8、LB中23位という十分な記録を残しますが、それは主にランゲームに対する強力なプレイによるもので、弱点の改善によるものではなかったようです。

 5年目を迎えたワグナーは、新たなレベルのLBへと進化を遂げます。2016年から2018年にかけて、ランディフェンスの強さの向上のみならず、パスゲームにおける弱点の克服も遂げました。2017年は、ディフェンダーではPFF史上初めて、ゲームの5つの面で90.0越えの成績を記録した選手となりました。この3年の成績は、同じくトップLBのルーク・キークリーを凌ぐものでした。

 何といってもワグナーの特色はタックルです。2018年の第16週では、116回連続のタックルのアテンプトを記録、過去2年間では277のアテンプトでたった5回のミスタックルにとどまっています。2018年のみで140のアテンプトのうちミスタックルを9回記録しているキークリーとの差は歴然としています。

 

最後に

 ルーキーミニキャンプの中でのドラフトルーキーの活躍は目を見張るものがあったようで、半年を切ったシーズン開幕が待ち遠しい限りです。セカンダリーとLBへのキャロルの自信はすさまじく、私としてもシーホークスのディフェンスは大好きなので、若い力で作り出すディフェンスが新たな形でリーグを牽引してほしいです。またRBのホーマーは、J.D.マキシックのようなレシーバーとのハイブリットも期待できそうです。

 ワグナーについては、PFFのデータからもその強さを身に染みて感じることができ、彼の存在の安心感はファンの誰しもが首を縦に振ることでしょう。EDGEを絶賛募集中の今、キャップスペースなどの考慮からワグナーとの契約は何ともいえない状況だと思いますが、契約最終年の今シーズンもますます期待が集まりますね

 LBを大量確保している今、前回までの記事でも紹介していますが、彼らはライトやワグナーの次世代としての位置づけもあります。SとLBの協調や、その個々の能力の高さが見込まれる中、もしワグナーがFAになるとしてもこの若手たちでもう一度あの最強ディフェンスを、そしてそれを超えるディフェンスを実現してほしいものです。

 

今回は以上です。